産経ニュース for mobile

【河野元衆院議長発言】(3)「慰安婦の強制連行はあった」

記事詳細

(3)「慰安婦の強制連行はあった」

河野元衆院議長発言更新

 --中国は今、どういう視線で日本を見ていると思うか

<< 下に続く >>

 河野氏「2つ申し上げたい。一つは、中国をよく見ている人の話でもそうだが、中国は日本に対していろいろメッセージを出している。私も、経済団体の会長をしているから、経済団体の50人ぐらいの人と北京に行ったときに、李克強首相と会談をした。それまで、全く出てこなかった人でびっくりしたが、破格の待遇だという感じがした。

 その後、その後、自民党の(二階俊博)総務会長が大勢連れて行って、そのときは習近平(国家主席)さんが出てきて、スピーチまでやった。その次に谷内(正太郎国家安全保障局長)さんが北京に行ったときも破格の待遇といわれた。

 この3つの出来事は、中国側が日本に対してメッセージを出している。中国側が日本に非常に関心を持っているし、日中関係を進めようと思っているというメッセージだというふうに理解している。

 それに対して、日本側はどう答えたか。この春からきょうまで、日本側が中国側にどういう返信をしたかというと、政治的にみると、文化的には文化交流、歌舞伎が行って、京劇と共演したり、とてもうまくやられたそうだが、経済も割と進んだ。中国から観光客がたくさん来て爆買なんて、大変な人的交流はできている。ところが、政治はどうかというと、まことに寒い。

 例えば国防白書、防衛白書では、自民党から中国は大変な脅威ということをもっと書けという指摘があって、書き加えられたとか。安保法制での議論が参院に移ってからは中国脅威論、中国を名指するようにでなっている。向こう側が日本に関心があることに比べ、打ち返しの返信としては、まことに厳しい返信をしている。この返信では、もうこれ以上進まない。唯一、それをひっくり返して、われわれの心配をひっくり返して進むとすれば安倍談話だ。

 安倍談話は、それを超える可能性があるという期待を持つ。はかない期待にならないことを望む。それ以外では、日本側が中国に対して、一緒にやろうねという呼びかけは政治的にはない。

 二階さんが一人でがんばられているが、それ以外にはない。それは非常にまずい状況だ。それは、いくら文化交流、経済交流があっても、政治はきちんと対応しないとこれ以上は進まない。

 そんな状況なのに、中国側はずいぶん我慢しているなという感じだ。これまでだったら日本側の一挙手一投足すぐ記者会見で日本はこういうこと言ってるけどおかしいという厳しいコメントがいつも中国側から出てきたが、ここのところ非常に抑制されたコメントだ。

 どうしてそんなに我慢しているのか。どうも中国の国内事情があって、経済状況が芳しくないというところに問題があるのではないか」

 --慰安婦問題のメルクマールになったのは、河野談話だ

 河野氏「多少誤解があるかもしれないが、河野(官房長官)談話における慰安婦問題は、日本のいわゆる『従軍慰安婦』といわれた人たちの全体について調査をして、全体について書いている。

 韓国の問題にしぼって書いているかというとそうではない。宮沢(喜一元首相)さんが韓国に行って演説をされたときに言われたものだから、とりわけ朝鮮半島については特化して3行ほど書いたが、それ以外では全体の慰安婦問題を書いている」

 --河野談話発表後の記者会見で、記者から強制連行はあったという認識でいいか、と質問された。それに対し河野氏は「そういう事実があったということで結構です」と答えた。公文書の記述など客観的な文書は見つかったのかという質問には「強制ということの中には、物理的な強制もあるし、精神的な強制もある。精神的な強制は官憲側の記録に残るというものではない」と答えた。いわゆる慰安婦の議論をするときに、強制性というのは集めるときに日本の軍、業者の誰かによって、強制的に集められたかどうかが問題だ

 河野氏「今申し上げたように談話それ自体は、資料や文章は、あるものだけを書いた。談話の中には強制という言葉は入っていない。しかし、実際は腕をつかんで引きずったり、胸ぐらを引きずっていったという強制連行というものもあった。どこにあったかというと、例えば、一番はっきりしていたのはオランダ人(の例だ)。オランダ人を慰安婦として連れて行き、慰安婦にしちゃったということは裁判をやって本人や証人が出てきて、判決が出て、明らかに強制連行されたという事実がはあった。

 こういう事実があるのに、強制連行はなかったとはいえない。もし、ありませんでしたといったら、オランダ政府はおかしいといって怒る。オランダの国民の中に強制的に連れて行かれて、慰安婦にされた女性が現にいる。裁判の状況見てもはっきりしている。インドネシアでもそういうことがある。強制連行がありませんでしたとはいえない。

 ただ、談話の中には韓国に特化した部分を考えると。そこには、文書がないから、総じて、本人の意思に反して連れて行かれたというふうにしか書いていない。

 しかし、あの時代、戦争中に軍が関与して、本人の意志に反して連れて行くということになれば、甘言によって連れて行かれたこともある。工場で働くなどの別の目的で連れて行かれて、行ってみたら、そこは慰安所だった。もう二度と出てこれない。そういうケースもあったかもしれないけど、総じて本人の意志に反して、本人が喜んで行ったというケースはほとんどない。中にはあったという人もいるかもしれない、お金がほしいから、そういう人もなくはないけれども、それでも私たちは慰安所に入れられた後は、結局、強制的に女性の人格を否定されるような労働に強制的につかされたという事実が残っているのは間違いない。

 だから、強制連行の部分に集中的におかしいという議論があるが、それは事実としてあった。現にそういう事例があるわけだから、全部が全部そうとは言わない」

 --韓国では物証はなかった。オランダやインドネシアはあったと

 河野氏「しかし、韓国の場合ももう少しやってみなければわからないが。しかし、本当かどうかという議論はあるけれども、そういう本人でなければわからないような事情を説明している。嘘ではそこまで言えないだろう。

 私も本人の証言を読んでみたが、そんなこと本人でなければとても言えないだろうというようなことがある。信用するかしないかという問題はあるが。

 インドネシアとかオランダのケースでは、強制連行はなかったかといえば、あった。韓国ではそういうことが、仮に文章として(残って)ないとしても、本人の意志に反して集められた人が非常に強制的な状況の中で女性としての人格を否定されるような労働にずっと就かされた、拒否できないような状況に就かされたという事実は否定しようがない。疑うべきもない事実だ」

 --広い強制性、あえて犯罪ということで、日本が謝罪なり、弁明しなければいけないという全体で考えるべき問題は、韓国で強制連行があったかという1点で話がゆがめられたという感覚があるのか

 河野氏「河野談話が韓国で認められて、それはそうだと認めていれば、国家の意思はそこではっきりしている。ただ、それ以外に私から言わせれば、横の議論があって、それについていいとか悪いとかいう議論が一人歩きする。この問題が起こってしばらくマスコミには出ないということでいた。

 なかにはあいつ、逃げ回っているんじゃないかといわれたこともあったが、そうではなくて、そういう議論が本筋の議論を曲げてしまう、そして本筋の議論が解決に向かっているのをあえて引っ張ってしまう、曲げてしまうことになってはいけないから、できるだけ、しゃべるべきではない、私は談話を出した以上は、談話を評価していただくのであって、それ以外は言うべきではないということで、非難があっても出なかった。

 ただ、最近になって、談話はいいよと、だけど終わった後のおまえの会見がいけないということもおっしゃるから、それは私は説明せざるを得ないということで出ている」

 --河野談話のいいたいところを守ろうということはしないのか

 河野氏「政治はいろいろ流れがあって、私は河野談話を出して、会見をして、それでもう自民党は野党に転落してしまって、政権から下がって野党になった。次の政権が責任をもってこの問題に当たらなければいけない、ということだ」

 --(その後の)韓国側の日本に対する姿勢には、徒労感を感じるか

 河野氏「韓国の国内にもいろんな議論がある。謝ってくれればいいという人もいれば、謝っただけでは済まないという状況もあって、向こう側も相当、国内事情で揺れている。それは、確かに揺れている。

 政治だから、国内の状況をまったく無視してというわけにいかない。しかし、国際的な約束なら、国内事情がどうであれ、国際的な約束として守るということにならなければならない。国際的な約束というほどの固いものがあるかどうかという問題もある。

 それと(戦後70年の首相談話に関する有識者会議『21世紀構想懇談会』の)報告書を読んでみたが、こっちも謝っているんだから、向こうもだって何か言わないといけないというのでは、向こうは怒る。向こうのことまで言うべきではないと思う。こっちはこういうんだから、お前の方もこういうべきだというんだけど、それはそういう性質のものではないと思う」