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【永田町群像 特別インタビュー】塚田一郎・自民党拉致問題対策本部事務局長 「めぐみさんと同窓…解決は使命」「北が見てるのは日本の世論」

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【永田町群像 特別インタビュー】塚田一郎・自民党拉致問題対策本部事務局長 「めぐみさんと同窓…解決は使命」「北が見てるのは日本の世論」

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インタビューに臨む塚田一郎氏(野村成次撮影) 僕は北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんと同窓なんです。僕が新潟市立寄居中学校の2年生だったときに、1つ下の学年にめぐみさんが在学されていて拉致されてしまった。めぐみさんと同窓である自分は、拉致問題を解決する使命を担っていると思って取り組んでいます。

 事件当時、僕はまだ14歳だったけれど、警察が大々的に捜査していたことや、通学路が同じような所だったこともあって、いろいろ質問されたことをよく覚えています。

 拉致だと分かったのは後のことで、当時は「神隠し」「謎の失踪」といった状況でした。当時から「不審船が日本海に来ている」という噂はありましたが、確定づけるものがないから疑いの域を出なかったんです。

 同じ道を歩いて通学していた僕からすれば、人ごとではありません。めぐみさんが偶発的に拉致されたのだとすれば、自分や自分の家族が被害に遭っていたかもしれない。

 そんな経験から、救う会(拉致被害者の支援組織)の新潟県での活動には、政治家になる前からボランティアで参加していました。(めぐみさんの両親の)横田滋さん、早紀江さんご夫妻とお会いしたのはその時で、「身近な方が政治家を目指してくれることは心強い」と言っていただいたのを覚えています。

 平成19年に初当選して国会議員になってからは、超党派の拉致救出議員連盟に入り、古屋圭司拉致問題担当相らと一緒に、米国など外国の政府・議会関係者に協力を求めてきました。

 自民党の「北朝鮮による拉致問題対策本部」のメンバーにも加わり、現在は事務局長を務めています。北朝鮮に対するわが国独自の制裁といわれている措置は大体、自民党がその内容の原案をつくって政府に提案し、採用されてきた経緯があるんですよ。

 最近は(27年3月に期限切れを迎える)拉致被害者支援法の改正案を検討するプロジェクトチームの座長になり、安倍晋三首相に党として新たな方針を報告してきました。現行の給付金制度の取り扱いや、老後の支援策などが柱です。

 新たな拉致被害者の帰国を想定した対策については、被害者本人とその家族全体をケアする仕組みづくりを今まで以上に意識しましたね。

 拉致から長い年月がたっているから、北朝鮮で家族を構成しているお子さんや、場合によってはお孫さんがいることもあり得るでしょう。家族が離ればなれにならずに日本に戻ってくるにはどんな制度をつくるべきか、非常に真剣に考えました。めぐみさんも拉致されてから今年で37年ですから、人生の大半を北朝鮮で過ごしていることになります。そういうケースにどう対応すべきだろうと懸命に考えましたね。

 拉致被害者を取り戻すことに対する安倍首相の熱意は、並々ならぬものがあります。お父さん(安倍晋太郎元外相)の秘書だった頃から取り組まれ、小泉純一郎元首相の訪朝時には官房副長官として現場に立たれた。北朝鮮という国を最も分かっている政治家の一人だと思います。

 「元首相」の立場でいらっしゃった野党時代も、拉致問題に関する党の会合にたびたび参加されていました。現場のわれわれと一緒になって取り組まれていた姿勢は非常に印象深いですよね。本気でコミットしていなければ、なかなかできないことだと思います。

 24年の自民党総裁選では(安倍氏の出馬について)いろんな声があったけれど、僕は「拉致問題を解決するのは安倍さんしかない」という思いが強かったから(安倍氏の)推薦人に名を連ねました。そして今、拉致問題が動き始めている。(進展を)期待しています。

 われわれは安倍首相が下した判断を支えていく立場にあります。つまり「拉致問題解決のために一緒に戦う」ということです。政治家はもとより、国民全体がオールジャパンで拉致問題に関心を持つことが何よりも大事。「拉致被害者を全員帰せ」という国民の声が最大の後押しになります。それが強ければ強いほど、北朝鮮と交渉する日本政府の力も強くなるでしょう。

 北朝鮮が見ているのは、実は日本の世論なんですよ。だから拉致問題に対して日本がどう対処すればいいかということを、われわれがきちんと示していかなければいけません。要するに「拉致問題が解決するまで北朝鮮との国交正常化はない。中途半端な解決はない」というメッセージを、国全体で発信していかなければいけない。

 正直言って、小泉元首相が(14年に)訪朝して北朝鮮が日本人の拉致を認めるまでは、世論がそれほど高まっていなかった時期があったと思います。でも今は、日本国民で拉致問題を知らない人は少ない。

 (小泉氏の再訪朝以来)膠着(こうちゃく)して動かなかった10年間にも、拉致被害者のご家族が焦りを感じておられた時期があったと思います。だけど常に世論はそこにあった。例えば町に出れば多くの人が署名活動に協力してくれるとか、そういう世論の存在ってすごく大きい。ご家族にとってもそうだし、救う会で活動している人にとってもそうです。

 拉致問題は外交交渉を進める一方で国内世論を喚起するという、両面の働きかけがあって初めて解決に向かうと思います。われわれは与党として、万が一きちんとした形で進展がないのであれば、(北朝鮮に対する独自制裁)措置を戻すことも含めて注意深く留保していくことも大事でしょう。街頭や集会などいろんな形で関心を高める取り組みを継続的にやっていくこともまた大事だろうと思っています。

 つかだ・いちろう 昭和38年12月、新潟市生まれ。50歳。米ボストン大学大学院国際関係学科修士課程修了。さくら銀行(現三井住友銀行)勤務、衆院議員秘書を経て、成19年の参院選で初当選。参院当選2回。自民党「北朝鮮による拉致問題対策本部」事務局長を務める。公式ホームページのURLはhttps://www.t-ichiro.net/

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