学校現場も新しく 公立小「35人学級」、端末利用も本格化

 新型コロナウイルスの収束が見通せない中、各地の小中学校で6日以降、順次、新学期がスタートする。公立小では、教室の「3密」回避のため、1クラスの定員を引き下げた「35人学級」が始まる。導入初年は2年生が対象だが、すでに多くの自治体で実現済み。国の計画では3年生以上は卒業まで対象外となる一方、前倒しで高学年まで少人数化を拡充する動きもあり、地域や学年による学習環境の差の広がりも懸念される。

 1クラスの人数は義務標準法で上限が定められており、教室の3密を解消するための方策として3月末に改正法が成立。公立小で、すでに35人だった1年生を除く2~6年生の上限を40人から35人にした。今年度から、学年ごとに5年かけて引き下げていく。

 ただ、今年度の対象となる2年生は、指導の充実を目的に設けられた教員加配の予算措置により「すでに全国のほとんどの学校が35人学級となっている」(文部科学省)。そのため、学校現場の環境改善は限定的になるとみられる。

 一方、国が示した移行計画に基づき少人数化を進めると、新3年生以上は卒業まで対象外となるため、一部の保護者からは「不公平だ」との声も上がる。東京都渋谷区立小では、児童数が計39人で2年生当時は各19、20人の2クラスだった編成が、新3年生に進級すると1クラス39人となり、学級人数がほぼ倍増するケースもあるという。

 国の方針に先駆けて35人学級を前倒しで進める自治体も目立つ。埼玉県新座(にいざ)市は市立小4校で新3年生の学級が35人を上回ることになるため、独自に対象を拡大し、35人以下に抑えた。

 平成20年度以降、少人数学級を増やしてきた北九州市では新学期から全ての学年で35人学級化が完了。市立小全体で昨年度に比べて約30クラスが増えることになった。東京都杉並区は都採用の教員に加え、区も独自に採用を行い、全学年を35人学級にしている。

 都内では、昨年度時点で全学年が35人以下に収まっているのは公立小の約8割。2割は40人学級の学年が残るが、その中でも独自の工夫により学習環境の改善を進める例もある。

 3年生から40人学級での編成となる荒川区立第三日暮里小では、月内にも全学年が利用できる校内専用のテレビ会議システムを導入。タブレットや電子黒板を使い、図書室やロビーなどを第2、第3の「教室」として活用して、分散させた児童を双方向で結ぶ授業などを検討している。

 末永寿宣(としのぶ)校長は「学級という枠組みにとらわれず、校内全体を学びの場として考えた。教育効果も期待でき、教員の工夫次第でピンチをチャンスに変えられる」と話した。

■1人1台、先生が不安?

 小中学校では3月末までにほとんどの自治体で学校現場にパソコンやタブレットといった1人1台の学習用端末の納品が完了し、新学期から本格的に授業などでの活用が始まる。ただ、不慣れな教員のスキル習熟や低学年に対する指導方法など課題が山積しており、政府の構想通りに進められるかは不透明な状況だ。

 小中学生に対する1人1台の端末配備は新型コロナウイルス禍を受け、政府が前倒しで進める「GIGAスクール構想」の一環で、遅れが目立った学校現場のICT(情報通信技術)化の柱となる目玉政策だ。

 文部科学省は学校現場での本格始動に合わせ、各地の教育委員会や学校現場から8人の教員を登用し、専属で支援を行うチームを強化。学校側の相談に対応するほか、ICT活用の参考授業例などを発信する。

 ただ、学校現場では指導を始める前段階で課題が山積しているのが実情だ。6日に区立小中学校の入学式を行った東京都足立区では、5月から児童生徒に配布する計画だが、「チョーク1本でやってきたベテランを中心に不慣れな教員もかなり多い」(区教委)。

 同区立校では、在校生の約2割に当たる約1万人の児童生徒の家庭には通信環境がなく、自宅への持ち帰りを前提にした文科省が示す構想の実現に苦心する。区教委の担当者は「教育方法を誤れば、子供に逆に苦手意識を与えかねないので丁寧に進めたい」と語る。

 首都圏の公立小で低学年を受け持つ女性教員は「アルファベットを知らない子供にパスワードを入力させるのも一苦労。どう教えていくのか、走りながら考えるしかない」と話した。

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