刷新される見通しとなった大学入学共通テスト 特徴的な問題を解説

 令和7年1月の大学入学共通テストから出題教科・科目が刷新される見通しとなった。大学入試センターが24日に公表した「歴史総合」や「情報」などの問題例では、4年度から段階的に実施される高校の新学習指導要領を踏まえ、複数の資料や会話文の読み解きを通して能動的な思考力を試す出題が中心となった。特徴的な問題を紹介する。

■歴史総合 資料から当時の状況考察

 第二次世界大戦後の東西冷戦をテーマにした教員と生徒の会話文を読み、国内外の複数の資料から、世界とその中の日本の相互影響を考えさせる設問が示された。

 第1問の問3では、前段の問1、2で、冷戦の基本的な構造やイデオロギー対立の争点となった「自由」の意味の解釈を確認したうえで、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下にあった当時の日本政府が、共産主義的な人物らを対象にした公職追放を閣議決定した文献を提示。「共産主義」「コミンフォルム」「日韓基本条約」といった用語の知識を踏まえ、当時の国際情勢の中で政府がそうした判断を下した背景を考えさせる出題となっている。

 このほか、オスマン帝国憲法と大日本帝国憲法の抜粋を示し、双方に共通する制定の背景を理解する力が身に付いているかを確かめる設問などがあった。

■情報 論理的な思考力を確認

 第2問は、18歳になって選挙権を得た生徒2人の会話を場面に設定し、比例代表選挙で得票数に応じて議席を配分する「ドント方式」のプログラミングを考えさせる。18歳選挙権は公民科のキーワードでもあり、高校生にとって身近なテーマだ。

 問1では、会話文を読みながら、表に示された得票データなどを踏まえ、繰り返しなどの処理を使って当選者数を導き出すプログラムの完成が求められる。

 令和4年度に新設される必修科目「情報I」で学ぶ基本的な知識が必要であるものの、この設問で試されているのは、問題解決のため、的確な手順を選び出せる論理的な思考力の有無だ。

 河合塾の担当者は「会話や表の数値が意味する内容が、それぞれプログラムのどの部分に対応しているかを見極める力が問われている」と指摘した。

■公共 18歳選挙権が題材

 第2問は、生徒たちの模擬国会の開催に向けた活動がテーマとなった。問1では、1889(明治22)年から現在までの日本の国政選挙をめぐり、納税額や性別、年齢といった有権者の資格要件の変遷が図示された。

 河合塾の担当者は「ただ知識を問いたいのであれば、文章の選択肢を提示すれば済む。この表がどのように整理されているのか、読解力もセットで確認したいのではないか」と見る。

 問2以降では、図示された模擬政府の予算案を読み解き、財務相や議員として発言した質問と答弁の誤った組み合わせを選択する設問などが展開される。

 新学習指導要領で新設必修科目となった公共は、現実社会の諸課題の解決に向け、社会づくりに参加する主体として自立することなどが学習の目標。この設問は、その内容を確かめるものと位置づけられた。

■地理総合 臨機応変な防災力問う

 新学習指導要領の「自然環境と防災」をテーマに、第2問で水害時の避難行動を考えさせる設問が例示された。洪水ハザードマップの浸水予想範囲にあるマンションで暮らす高校生が家族と交わした会話文を読み、川が氾濫した際の適切な避難行動を考えさせる。

 指導要領では、自然災害の規模や頻度、地域性を踏まえた対応に加え、ハザードマップや地形図などを読み取り、まとめる地理的技能の習得を求めている。

 問2では、自宅の位置や高齢者がいる家族構成などを総合的に考え、避難先までの距離や経路が浸水している可能性などを念頭に置き、臨機応変に対応する思考ができるかが問われた。

 別の設問では、各国の合計特殊出生率や男女別の労働指標、識字率などの統計資料を読み解き、人口推移との関連性や傾向を考えさせる内容も提示された。

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