共通テスト再編案 資料読み解き、データ取捨選択 問われる思考力 

 大学入試センターが24日に公表した大学入学共通テストの出題教科・科目の再編案。「歴史総合」や「情報」など4科目の問題例から浮かび上がるのは、複数の資料を読み解き、情報を的確に取捨選択するといった能力の必要性だ。試験内容が刷新されるまでの4年間で授業内容や受験準備に大きな変化が予想され、受験生は計画的な準備が求められることになりそうだ。

知識軽視に注意

 現行の地理歴史の授業では小中学校で日本史を中心に学ぶため、高校では世界史が必修、日本史と地理は選択科目だ。一方、高校で令和4年度から段階的に実施される新学習指導要領を踏まえ、新設必修科目となる「歴史総合」は近現代の社会変革に着目し世界と日本の関係を複眼的に学ぶ。

 元東京都品川区教育委員のジャーナリスト、細川珠生(たまお)さんは「縦割りだった世界と日本の近現代史に横軸を通すことになる。例えば、授業で戦前の日本の動きを当時の列強の国際情勢と比較するなど客観的な歴史観を養うことができれば、バランス感覚を身に付けられる」と指摘する。

 24日に公表された歴史総合の問題例でも横断的な観点から、東西冷戦の情勢などをテーマに、図表や複数の資料を読み解く問題となっていた。

 新指導要領の枠組みに沿った設問だが、「基本的な知識を軽視しないように注意が必要」(河合塾)でもある。旧センター試験や現行の共通テストの「日本史A」「世界史A」の過去問に取り組み、前提となる基本的な知識を身に付けた上で、資料の読解などを繰り返し思考力を訓練していくのが有効な対策だという。

 「公共」の問題例から浮き彫りになったのは「判断力」だ。5つの図表から必要な情報を読み取り答えを導く設問では、その傾向が如実に現れた。

 河合塾の公民科講師、栂(とが)明宏氏は「初めて見た図表の意味や特徴を読み取り、的確に情報を取捨選択する判断が求められる」と語る。知識偏重型の学習では対応は難しく、学校の授業で展開される調べ学習や発表学習で経験値を積んで、読解に親しむことが「受験対策の王道」(栂氏)となるという。

論理的思考を確認

 4年度から学校現場に「情報I」が新設必修科目として導入されることを受け、共通テストにも「情報」が新たに出題教科に加わる。コンピューターの仕組みやプログラミングなどが出題範囲となるが、プログラミング技術者としての適性を確認するものではないことに注意が必要だ。

 「試されるのは、『プログラムが書けるか』ではなく、『課題を解決するためにどのような手順で進めるか』という論理的な思考。情報を活用できる能力だ」

 河合塾教育研究開発部の小松原潤子・上席調査役は傾向をこう分析し、「プログラミング教室で経験を積んだ生徒が有利とは言い切れない」と指摘する。

 ただ、学校現場でも「情報」の授業は手探りなのが実情で、受験対策として有効なのは教科書の着実な理解だという。他教科のように問題集や参考書が乏しいが、共通テストの出題教科となることで、刊行数の充実や授業の質の向上も期待されるため、小松原氏は「受験生は悲観的になる必要はない」と話した。(玉崎栄次)

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