「大人って何?」紙面通じて他者と対話 東京都立荻窪高 18歳成人テーマに考え深める

「新聞は紙面を通じて他者と対話できる」と話す代田有紀教諭=東京都立荻窪高校
「新聞は紙面を通じて他者と対話できる」と話す代田有紀教諭=東京都立荻窪高校

 紙面を通じて他者と対話する-。東京都立荻窪高校(杉並区)で倫理を教える代田有紀(しろたゆき)教諭は、新聞を教育に活用するNIEのメリットをこう話す。令和4年度から民法が改正され、「18歳成人」となるにあたり、生徒に記事を読ませながら「大人になるとはどういうことか」を考える授業を行った。こうした利用で新聞の向こうにいる人と、新しい学習指導要領に示された「主体的・対話的で深い学び」が可能だとしている。

 代田教諭の実践は今年度のNIE全国大会東京大会で発表された。

 授業単元は「青年期」。「18歳成人」になれば高校3年生は大人として扱われる。「しかし、心が大人かどうかは別の問題だ」(代田教諭)。

 一部自宅学習を含んだ授業ではまず、新聞の人生相談から「希望を持って吹奏楽部に入ったが、練習がつらい」という中学1年生の悩みを読んで、考えさせた。

 生徒自身や身近な人の問題は話題にしにくいが、知らない第三者が同じような悩みを持っていることを知り、話し合うことは比較的ハードルが低いからだ。

 次に18歳成人について、改正民法の成立と解説記事を読んで、ポイントと課題を理解し、自分の問題として考えさせた。

 最後に、15歳の女子高校生の「経済的に自立して責任を持てるのが大人」、102歳の男性の「年齢を重ねるだけでは未完成です」などとする「大人って何?」の記事を読んだ。「心が大人になる」と「法律が大人にする」ことの違いを考え、「何ができたら大人か」について意見を持ち、クラスメートと考えを共有した。

 また、単元を通じ「18歳は大人か」と問うことで、「大人になるタイミングは人によって異なる」「大人でも子供でもない時期があると知った」など考えが深まった。

 現在は新型コロナウイルスの影響で、3密が敬遠される中、集まって話し合うのは難しい。

 だが、新聞には、教室では出会えない、さまざまな立場の人の信頼できる考えが載っており、紙面を通じて対話できるという。

 高校卒業後は就職する生徒が少なからずおり、最後の学びになるかもしれない。

 一人の大人として社会に出ていく準備として、いかに自分の考えを持たせるか。代田教諭は「高校現場が真面目に考えなくてはならない課題」と話している。

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