大学入試シーズン、佳境に 異例ずくめに受験生翻弄

国公立大2次試験前期日程に臨む受験生=25日午前、東京都文京区の東大(代表撮影)
国公立大2次試験前期日程に臨む受験生=25日午前、東京都文京区の東大(代表撮影)

 新型コロナウイルスの収束が見通せないまま、大学入試は佳境を迎えている。大学入学共通テストは導入初年にもかかわらず、一斉休校に伴う学習の遅れから「第2日程」が設けられる事態に。国公私立大の個別試験でも選抜方法の変更が相次いだほか、感染状況の影響を受けた「地元回帰」の動きなど志願動向も一変。受験生は翻弄されながらも、異例ずくめの状況と果敢に対峙(たいじ)している。

■ぶっつけ本番

 昨年の一斉休校は感染拡大地域では約3カ月に及ぶケースもあり、学校現場では授業の遅れが深刻化。これを受け、1月の共通テストは初めての実施だったが、例外的に当初日程の2週間後に「第2日程」が設けられる事態となり、約2千人が受験した。

 模試の多くも自宅で個別に受ける形となり、「試験慣れ」しないまま本番に臨む受験生も続出。共通テストが会場での初試験となったという都立高3年の男子生徒(18)は「10回ほど模試を受けたが、全て1人で自宅受験。共通テストはぶっつけ本番で緊張してしまい本来の力が出せなかったが、皆同じ条件だから仕方がない」と振り返る。

 一方、長期休校を前向きに捉える声も。都内の私立高3年の女子生徒(18)は「入試に必要な授業はほとんど終えていたので、休校期間は本番に向けて自習が効率的にはかどった」と打ち明け、25日の国立大の個別試験に臨んだ。

■個別試験とりやめ

 共通テストは思考力などを問う出題となったことで難化も予想されたが、結果的に平均点は前年の大学入試センター試験に比べて極端な低下はなかった。河合塾教育情報部の富沢弘和部長は「異例の状況に直面し危機感が高まったことで、備えができた受験生が多かったことも結果につながったのでは」と指摘する。

 国公私立大の個別試験では、実技の見送りなど内容の変更も相次いだ。とりわけ、受験生に衝撃を与えたのが、個別試験の中止だ。例えば、横浜国立大は昨年7月、4学部で個別試験をとりやめ、共通テストの成績で合否を判定すると発表。志願者は昨年に比べて前期で約3割、後期で約5割減っており、「合格ラインの上昇が予想され、個別試験で逆転できないため挑戦しにくい状況が生じた」(富沢氏)と見られる。

 個別試験をとりやめる動きは広がり、宇都宮大(栃木)の4学部や信州大(長野)の2学部も共通テストの成績を活用した選抜に移行。信州大は1月21日に予告していたものの、正式な発表は出願締め切り2日前の今月3日だったため、受験生に困惑が広がった。

■志願動向も一変

 一方、コロナ禍により志願動向に番狂わせが生じた面も否めない。一部には、先行き不透明な入試を避け、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)に切り替える「安定志向」も目立った。

 「早く決めたい焦りがあった」と話す神奈川県の私立高3年の男子生徒(18)は学校推薦型を活用し、昨年のうちに東京都内の私立大に合格したが、「面接がオンラインとなり、不慣れなので不安ばかりだった」と振り返る。

 河合塾の調査(今月19日現在)によると、首都圏や近畿圏などの主要な私立大志願者は昨年に比べ1割ほど減少。地方の受験生が都市部への進学を避ける「地元回帰」や、受験校の絞り込みがあるとみられる。

 富沢氏は「一昨年には、記述式問題の見送りなど共通テストの内容変更に翻弄され、昨年以降はコロナにも振り回された。例年に比べて苦しい受験を経験する世代になったことは間違いない」と話した。

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