【入試最前線2021(11)】「主体性評価」コロナで見送りも

春夏ともに中止が決まった選抜高校野球大会の舞台、甲子園球場(水島啓輔撮影)
春夏ともに中止が決まった選抜高校野球大会の舞台、甲子園球場(水島啓輔撮影)

 一連の大学入試改革を機に、学力だけでなく部活動や留学、ボランティアなどの活動を入学者選抜の際に評価しようとする流れがある。「主体性評価」と呼ばれているやり方で、総合型選抜(旧AO入試)ではこれまでもこうした活動が評価されてきたが、今年度からは一般選抜でも、志望理由書や活動報告書などの受験生が作成する書類や高校の調査書を活用することが推奨されている。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で休校を余儀なくされるなど高校生活は一変。主体性評価はどうなったのだろうか。

 「見送る大学も出ている」と指摘するのは、河合塾教育情報部の富沢弘和部長(49)だ。コロナ禍における臨時休校で、授業に遅れが出たほか、部活などの大会やコンクールの中止も相次いだことで高校教師らからは「調査書が書けない」と悲鳴が上がっていた。

 こうした状況を裏付けるアンケート結果もある。ソフトウエアを開発する「ODKソリューションズ」が昨年10月、大学入試を控えた高校3年生200人を対象に行ったインターネット調査によると、評価書類に書けそうな学業以外の取り組みを同年に行ったか否かについて、64%が「行いたかったが十分にできなかった」「行いたかったが全くできなかった」とした。できなかった理由としては、59・4%が新型コロナの影響と回答し、「活動の機会がなくなってしまった」「活動を行うのが不安になった」などとしていた。

 新型コロナによるこうした影響を考慮し、信州大は予定していた理学部での調査書の点数化を断念した。入試課の担当者は「理学部では高等学校の行事、スポーツ・文化関連の大会、各種資格検定試験などを評価項目として予定していたが、今年は行われなかったケースが多かった。実力を発揮できた浪人生とその機会がなかった現役生を、公平に評価することができない」と説明している。

 出願の際に学業以外の取り組みを記入させるものの点数化はせず、合否判定には使わないとした大学もある。早稲田大は今回、ウェブ出願の際に、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度をもって活動したこと、経験したこと」を100~500字で記入することを必須とした。合否判定に使わない理由について、同大入試センターは「受験生ごとに異なる『主体性』は、一般入試として画一的な点数に換算し、判定できる性質のものではないと判断した」という。

 主体性評価の導入をめぐっては、教育関係者からは「活動が点数化され、真の主体性につながらない」「家庭環境の差が合否に反映される」との批判もあった。これを受け、文部科学省は昨年2月に有識者会議を立ち上げ、新しい学習指導要領で初めて大学入試を実施する令和6年度に向けて、主体性評価の方向性を検討中だ。同省大学入試室の担当者は「一律に全ての入試で主体性評価を求めると、選抜の多様性を損なうことにもなる。各大学でどんな評価方法があり得るのか、例示していく」としている。

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