コロナ下の公立高入試スタート、陽性・発熱の場合は
緊急事態宣言下の京都府や兵庫県で16日、公立高の推薦入試などが始まった。近畿の各自治体側は新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者に認定されたりした生徒の受験方法をまとめた。大学入学共通テストの基準に沿い、濃厚接触者であっても条件次第で別室受験を可能とし、試験を受けられなかった生徒には追試験などの救済措置をとるケースも。感染の収束が見通せないなか、子供たちが受験する機会を失わないよう、自治体側も策を講じている。(藤井沙織)
■受験生ピリピリ
「コロナに感染すると周囲に迷惑がかかるので、毎日ピリピリした気持ちで過ごしています」
次男が大阪府立高を受験する予定の東大阪市の女性はこう話す。不要不急の外出を控え、やむを得ず出歩くときもマスクを二重にするなど気を配る。大阪府には緊急事態宣言が発令されており、「解除されたらまた感染が広がるのではないか。入試が終わるまで延ばしてほしい」と気をもむ。
実際に受験生が感染するなどした場合、どうなるのか。緊急事態宣言下にある大阪府、京都府、兵庫県はいずれも、大学入学共通テストにならった基準を設けた。受験できないのは、(1)PCR検査などの結果が陽性で療養中(2)濃厚接触者で検査の結果待ち(3)濃厚接触者で検査結果は陰性だが、試験日に発熱などの症状がある(4)海外から帰国・入国し2週間の待機を要請されている-のいずれかに該当する場合だ。
一方で、濃厚接触者であっても陰性と判明し、かつ試験日に無症状の場合は別室で受験できる。京都府と兵庫県は「公共交通機関を利用せずに来場できる」との条件を付け、大阪府も可能な限り公共交通機関の利用を避けるよう求める。受験できなかった場合は後日の追試験を受けられるが、大阪府、兵庫県は日程などの都合上、追試験を3月の一般入試に限っている。
■給食なくす中学も
対応が異なるのは、濃厚接触者ではないものの、当日に発熱などの風邪症状がある場合だ。兵庫県は当日に別室で受験できるとし、京都府では後日の追試験で対応する。大阪府は「体調不良なら外出を控えるよう求められるが、試験は不要不急とはいえない」(担当者)として別室受験か追試験かを選べるようにした。
感染や濃厚接触のタイミングによって追試験も受けられなかった生徒への対応として、京都府は中期入試に限り後日、特別に「追加選抜」を設定。兵庫県と大阪府は個別に対応する。大阪府教育庁の担当者は「対応の具体的な内容についても検討を進めている。安心して試験に臨んでほしい」と呼びかける。
中学校側も感染対策に力を入れており、校内で濃厚接触者を出さないよう、独自策を講じる学校も。給食によって濃厚接触と認定されるケースもあるため、大阪市内のある公立中学校は3月から、授業は午前のみとする予定だ。
この中学校では昨年、生徒の感染が判明した際に、給食時間にマスクを外して飲食を共にしたとして周囲の座席の8人が濃厚接触者とされた。もともと給食の時間も前を向いて黙って食べるよう徹底しており、結果は全員陰性だった。校長は「入試前に同じことが起きて試験を受けられない生徒が出ないよう、打てる手を打つ」と話している。