【入試最前線2021(9)】発達障害の学生、大学が支援

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 大学生活は高校までと大きく異なる。決められた時間割がなく、自分で講義を選択しなければならず、講義の合間には長い待ち時間もある。ゼミなどではグループワークに参加しなければならない。つまり、自由度が増して主体性が求められるとともに、他者との協同作業も必要な日々となり、スケジュール管理やコミュニケーションが苦手といった特性を持つ発達障害の学生にとっては、つまずきやすい環境だ。近年は、多くの大学が相談窓口を設けるなど支援に力を入れている。

 発達障害に起因する大学への不適応は大きな課題となっている。日本における大学の卒業率は90%前後だが、日本学生支援機構の令和元年度の調査によると、発達障害のある学生の卒業率は68.3%。調査は4年生まで進級した学生を対象としており、3年生までに退学した学生も含めれば、卒業率はさらに下がるとみられる。

 大学生活を送る中での困難に直面し、初めて自分が発達障害だと気が付く学生もいる。同志社大の設置する「特別支援オフィス」では、発達障害と診断されている学生だけでなく、その傾向のある学生の相談にも応じている。例えばスケジュール管理が苦手で、「課題提出の締め切りに間に合わない」という学生には、課題の優先順位を一緒に考える。コミュニケーションが苦手で「なぜか人を怒らせてしまう」という学生とは、会話の練習もする。

 大阪大の「アクセシビリティ支援室」では障害の有無に関わらず、履修登録の手助けなど、大学生活に困難を抱える全ての学生に向けてアドバイスやサポートを行っている。

 またどちらの支援室も相談に対応するだけでなく、学生の希望と必要性に応じて、大学からの「合理的配慮」を受けるための手続きも行う。合理的配慮とは、障害のある人が困難を解消するために希望する支援を、過度の負担のない範囲で行うこと。大学や企業などには、障害者差別解消法などによって合理的配慮の提供が義務付けられている。

 大学が提供する合理的配慮の例としては、ノートがとれない場合の講義の録音の許可や、文章をまとめるのが困難な場合のリポートの提出期限の延長などがある。ただし、保護者や教師らが支援策を考え環境を整える高校までとは異なり、大学で合理的配慮を受けるには、学生本人がどういった配慮を受けたいかを伝えなければならない。これは社会に出てからも同様だ。

 さまざまな困難に直面しがちな発達障害の学生が、円滑な大学生活を送るためにはどうすればいいのか。大阪大の担当者は「自分の得意、不得意を理解し、大学で自分が努力すべき点は何か、どのような支援を求める必要があるのか、考えることが大切」。ただ短期間で把握できるものではないため、「社会に出るまでの準備期間として、在学中に支援室のサポートを受けながら、自己理解を深めてほしい」と話している。

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