医療への夢、奪われてはならぬ 学生団体ら交換日記

学生団体「inochi WAKAZOプロジェクト」が企画した「生きるための交換日記」のホームページ
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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、医療現場が過酷な状況となり、医師や看護師などを目指す若者への心理的影響が懸念される。そんななか、「夢を奪われてはならない」と、文書で互いを刺激しあうインターネット上での交換日記が医学部生らでつくる学生団体により始められた。困窮する一部学生を救うためのクラウドファンディング(CF)もあり、医療従事者を目指す若者をフォローしようと懸命だ。(小川原咲)

 「難病を抱える子供の命を少しでも多く救う」「人を安心させられるような医療従事者になる」

 東大や京大・大阪大などの医学部生らでつくる学生団体「inochi WAKAZOプロジェクト」が立ち上げたサイト「生きるための交換日記」には、医療従事者を目指す若者から多数のメッセージが寄せられている。

 コロナ禍で各地の医療従事者が厳しい状況のなかで奮闘している一方で、その業務が過酷で危険な面も多いことも広く報道された。 「厳しい状況に夢を諦める若者が出ているかもしれない」と危惧した団体では、互いに応援することが必要ではないかとネット上での交換日記を企画し、昨年7月からメッセージを募集。コロナ禍で感じたこと、頑張りたいことなどを自由に書いてもらい、順次サイトに掲載している。目標は1千人。今後、メッセージに対して阪大医学部の澤芳樹教授らから応援コメントをもらい、学生らに返却する予定だという。

「気持ちが整理でき、前向きな行動につながる。医師からの応援はくじけそうになったときのお守りにもなるはず」。阪大医学部2年の鈴木崇太さん(20)が話す。「医療従事者へのいわれのない批判もある。若者が漠然と不安を感じ、志の火を消してしまうのはあまりにももったいない。応援の渦が社会に広がってくれたら」と続けた。

 経済的な打撃も無視できない。医学部生らでつくる全日本医学生自治会連合の調査によると、アルバイトをする学生600人のうち、約6割の学生がコロナ禍の影響で収入が減ったことが判明。そのうち87人は「収入がゼロになった」と答えた。

 そうした状況を踏まえ、世界的な細菌学者の野口英世の業績を記念して設立された「野口医学研究所」(東京)は、経済的に困窮する学生を応援するCFを実施。野口の肖像をデザインしたマスクケースを販売し、約160万円を集めた。学生から「夢」をテーマにエッセーを募集し、CFから最大100万円を授与する計画だ。

 研究所の担当者は「微力だが手助けになればと始めた。国は現役の医療従事者だけでなく、将来の医療従事者への支援も行う必要があるのではないか」と求めた。

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