【主張】GIGAスクール ソフト面の万全な準備を

 全ての小中学生に1人1台のパソコンを整備する「GIGAスクール構想」により、今春から教育のICT(情報通信技術)化が加速することになる。だが、具体的にどのような授業が行われるのか、いまだに見えてこないのが実情だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、オンライン授業をはじめとするICT教育への期待は大きい。国や各自治体はハード面の整備を急ぐとともに、授業内容などソフト面についても万全の準備を進めてほしい。

 GIGAスクール構想とは、パソコンなど1人1台の端末と高速ネットワークシステムを整備し、各学校において子供たちの個性に合わせたICT教育を実現するための施策だ。

 当初は令和5年度までに整備する方針だったが、新型コロナ対策にもなるとして、達成目標を今年度中に前倒しした。各家庭におけるICT環境の整備も目指す。

 全ての子供たちにパソコンが行き渡り、オンラインで教室とつながれば、一斉休校になっても学びを継続することができる。文部科学省の調査によると、全国の自治体の9割以上が今年度中に1人1台を実現する見通しだ。

 一方、どのような授業を行うかは学校現場に任されており、全国一律で準備が進んでいるとはいえない。ICT教育に先進的に取り組んできた地域と、そうでない地域との格差も懸念される。端末操作に不慣れな教員が十分に対応できない可能性もある。

 文科省は、専門知識を持つICT支援員を4校に1人の割合で配置するなどの対策に努めるが、技術面のサポートに偏りがちで、カリキュラムの見直しなどは、後回しになっている。

 前倒しで進められるハード面の整備にソフト面での対応が追い付かないまま見切り発車すれば、混乱するのは教育現場であり、被害を受けるのは子供たちである。

 国や各自治体は、学校現場の準備状況を見極めつつ、教員のスキルアップやモデル授業例の発信などにより、混乱の芽を摘み取ってほしい。

 悪質なSNSなどによるインターネット犯罪や、深刻化する依存症への対策も必要だ。学校と家庭は緊密に協力し、ネットを適切に使いこなす環境をつくり上げてもらいたい。

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