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【ビブリオエッセー】そう、その通り。共感の一冊 「私は私のままで生きることにした」キム・スヒョン著 吉川南訳(ワニブックス)

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 この本を手に取ったきっかけは題名だった。『私は私のままで生きることにした』という題名に、ずっと周囲の目を気にしてきた私は、惹かれた。

 他人と少しでも違うところがあるとそこばかり気になり「普通じゃないのかも」と不安になった。昔より落ち着いたが今もできるだけ普通に、まわりと同じようにと思うし、誰からも好かれたいと欲張ってしまう。

 ところがこの本で最初に目についたのは「誰とでも仲良くしようと、頑張らない」の一文だった。「みんなと仲良くしよう」と教えられ、苦手に感じる子とも「仲良くなれるかも」と期待し、「嫌っていることは悟られないように」と気を使いながら関わってきた私。

 考えてみれば当然なのだが「誰とでも仲良くするのは無理がある」と文中にあった。そう、その通り。他人の領域を侵してはいけないように「自分の領域も守ったほうがいい」。この本を読み、今まで私は自分自身にたくさんの嘘をついてきたのだと目からうろこだった。

 著者は韓国で人気の女性イラストレーター・作家。この本音の人生論は日韓で若者たちの大きな共感を得てベストセラーになり、先ごろ続編も出版された。競争社会の「生きづらさ」という悩みは共通なのだと知った。

 「謙遜しすぎて気後れしてはいけない」「世の中が決めた正解に屈してはいけない」「しんどいときには、しんどいと言おう」。なるほどいちいち思い当たり、心強い言葉の数々。

 ただし、「我慢すべきときは我慢しよう」と語り、最後は「大人として生きる」と結んでいる。自分らしく、しかし自分のふるまいには責任をもつこと。この本をお守りに、これからは自分に嘘をつかない生き方をしてみたい。

 兵庫県尼崎市 冨里音葉 20

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