PR

【日本語メモ】「増」「減」どちらが改善か

PR

 新型コロナウイルス禍で経済指標は軒並み悪化が目立ちます。数値が改善したという前向きなニュースが並ぶようになれば、社会的なマインドにも変化が出てくるのでしょうか?

(1)オフィスの空室率は3.53ポイント増と改善した。

 事務所・オフィスの空室率は、重要な経済指標の一つです。毎月、民間企業が発表しています。国内総生産(GDP)や有効求人倍率は、「パーセント」や「倍」で表し、数字がプラスになることが景気上昇を意味します。一方、空室率や完全失業率は景気が悪いと増える指標なので、景気が良い場合は下がるので、「減る」ことを「改善」ととらえなければなりません。

(正解例)オフィスの空室率は3.53ポイント減と改善した。

(2)かぶらを厚さ2.6ミリにすりおろす。

 問題文のケースは、季節外れですが、関西の冬の風物詩、京都の「千枚漬」の作業を書いた記事です。「すりおろす」は広辞苑によると「すって細かくする」こと。細かいかけらになって原形をとどめていない状態です。千枚漬とは、かぶらを薄くスライスしたものですから、「すりおろす」では不適切。よって「削る」に直しました。

(正解例)かぶらを厚さ2.6ミリに削る。

(3)企業の対応は後手を踏んだ。

 企業の不祥事は残念ながらなくなりません。昨年秋には、関西電力の金品受領問題などが発覚しています。一度の発表で収まらず、何度も会見を繰り返すことになると、イメージもよくありません。「後手に回る」は「相手に先を越され、受け身の立場に立たされる」(広辞苑)こと。「後手を踏む」は誤用で、「二の足を踏む」を勘違いしたものかもしれません。「踏む」といえば足が連想されるので、「手を踏むのは何かおかしいなあ」と感じないといけません。

(正解例)企業の対応は後手に回った。

(4)グライダーが修理を終え、里帰りした。

 「里帰り」は広辞苑によると1番目の意味として「結婚後、新婦が初めて生家へ行く儀式」とあります。2番目は「他家に奉公する者が生家へ一時帰ること」、3番目に「結婚している女性が実家へ一時帰ること」としています。最新の第七版では3番目の既婚女性の項目に「里帰り出産」の用例が入り、4番目に「故郷や従来あった場所へ戻ること」が付け加えられました。

 一方、明鏡国語辞典では「国外に出ていた品物が一時的に戻ってくる意などにも使う」と書いてあります。自社のハンドブックでは「海外に流出していた美術品が里帰りした」などと使う場合は、「一時的」という意味でない場合は誤りになると定めているので、解釈としては明鏡に近いと言えるでしょう。例文は、グライダーが修理から元の場所に帰ったということですから、「一時的」ではないので「戻った」に直しました。

(正解例)グライダーが修理を終え、戻ってきた。

この記事を共有する

おすすめ情報