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【コロナ その時、】(7)政府高官も「寝耳に水」 10万円給付めぐり政府迷走 2020年4月14日~

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 新型コロナウイルスの感染拡大で経済的影響を受ける人々をどう救済するのか。この課題に直面した政府の対応は揺れた。

 政府は当初、一定以上の収入を失った世帯に30万円を給付する方針を決め、これを含む令和2年度第1次補正予算案を4月7日に閣議決定していた。しかし、与党内にも不満が広がり、事態は急変する。

 口火を切ったのは自民党の二階俊博幹事長だった。二階氏は14日、所得制限を設けた上で、国民1人当たり10万円の給付を政府に求める考えを表明。さらに、公明党の山口那津男代表は翌15日、安倍晋三首相に、所得制限をなくして全ての国民に対して10万円を一律給付するよう主張した。

 この流れを受け、首相は16日に「30万円給付」を撤回し、公明党案を採用。補正予算案を組み替える異例の展開となった。

 全国的に感染拡大が止まらない中、政府は16日に緊急事態宣言の対象を全国に拡大した。政府高官は「全国が宣言の対象になれば全国民に影響が及ぶ。だから一律10万円給付の方が理にかなう」と説明したが、別の政府高官は「『10万円』は寝耳に水だった」と明かした。

政府方針転換に勢いづく野党

 急転直下で決まった10万円の一律給付は、高所得者にも給付されることへの批判もあり、国民の受け止め方にも温度差があった。

 安倍晋三首相は4月17日の記者会見で「混乱を招いたことは私自身の責任」と陳謝したが、方針転換は野党を勢いづかせた。共産党の小池晃書記局長は20日の記者会見で「野党が求めていたことに耳を貸さなかった」と批判。自民党の閣僚経験者も「閣議決定までしてまたやり直すなんてみっともない」と毒づいた。

 政府は20日に「10万円」を含む令和2年度第1次補正予算案を閣議決定。給付へ具体的に動き始めた一方、思わぬドタバタ劇も生んだ。広島県の湯崎英彦知事が21日、県職員が受け取る10万円を、県の新型コロナウイルス対策の財源として活用を検討する考えを示したのに対し、県職員などが反発。湯崎知事は翌日、「誤解を生む言い方だった」と釈明し撤回した。

4月14日 トランプ氏、WHOへの拠出金停止表明

 一方、欧米では経済を再び動かす模索も始まっていた。トランプ米大統領は16日、経済活動再開の指針を発表。11月の大統領選で再選を目指すトランプ氏にとって、新型コロナによる景気低迷はアキレス腱(けん)となりかねない焦りがみえた。

 しかし19日に米大手百貨店で初めてニーマン・マーカスが経営破綻するとのニュースが流れ、だれの目にも景気悪化は明らかだった。

 世界の感染者は16日に200万人を超えた。米国はパンデミック(世界的大流行)の「主犯」探しを始め、感染の震源地である中国への責任追及を強めていく。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は中国の初動の遅れに甘いと批判されてきたが、トランプ氏は14日、WHOへの拠出金停止を表明した。

4月16日 緊急事態宣言を全国に拡大

 政府は16日、ついに緊急事態宣言を全国に拡大した。18日には国内全体で新規感染者が1万人を突破し、病床は逼迫(ひっぱく)していった。埼玉県では21日、病床が見つかるまで自宅待機の措置がとられていた50代の男性が、軽症と判断されていたにもかかわらず自宅で死亡し、世間に衝撃を与えた。感染者や家族をはじめ医療従事者への心ない誹謗(ひぼう)中傷やデマも広がった。

 スポーツのほか夏以降のイベントも相次ぎ頓挫した。21日に、徳島市の夏の風物詩「阿波おどり」の中止が決定し、ドイツで毎年秋に開かれる世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」の中止も決まった。

 内外で閉塞(へいそく)感が増す中、世界のトップアーティストが立ち上がった。「これは私たちから世界へのラブレターです」。レディー・ガガさんの呼び掛けで医療従事者に感謝するコンサートが18日開催され、ユーチューブなどで世界同時配信された。ガガさんやスティービー・ワンダーさんら100組以上のアーティストが自宅などから歌声を披露。視聴した約2300万人を勇気づけ、約138億円もの寄付金が集まった。

 この頃、医療従事者を励ますため毎週木曜に街のシンボルなどを青く照らす「ライト・イット・ブルー」運動が欧米を中心に広がっていた。日本でも16日、東京スカイツリーなどがライトアップされた。

 国内ではゴールデンウイークを目前に外出自粛ムードがいよいよ強まり、国民は本格的に「巣ごもり」生活に向き合うことになる。

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