コロナ禍が高校生の学びに与えた影響 ―学習意欲を維持するための取り組みとは

臨時休校下での学習について振り返る河合塾立川校の最上芳光校舎長
臨時休校下での学習について振り返る河合塾立川校の最上芳光校舎長
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 新型コロナウイルス感染拡大による政府の緊急事態宣言などを受け、今年3月から6月にかけて、全国の小・中学校、高校などが臨時休校となった。授業映像の配信やオンライン授業などの活用が広がった一方で、コミュニケーションの難しさも指摘されている。前代未聞の経験によって浮上した、新たな学びのスタイルとは-。これからの学びの可能性に注目が集まっている。

休校期間中、学習に集中できなかった高校生は半数を超える

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 大手予備校・河合塾では、休校期間中の5月に公式ツイッターを利用した高校生向けのアンケートを実施した。休校期間中の学習の様子を聞くと、53.4%が[集中できなくて、あまり勉強できていない]と答えた。教員や同級生との交流がスムーズにいかないことによるモチベーション低下や自主的な学習継続の難しさ、理解度への不安といった課題が浮き彫りになっている。

映像授業だけではない、新たな学習サポートとは

 河合塾では、4月中旬から開講予定だった高校生・高卒生の新学期授業を、対面授業から授業映像のWeb視聴を中心にしたカリキュラムに切り替えた。制作した授業映像のラインアップは、高校生対象・高卒生対象を合わせて4000本近くにものぼる。例えば、高校生向けだけでも、講座のラインアップは104講座。週1回の授業が11週間分あり、総本数は1100本を超える。映像授業になっても、多彩なカリキュラムは維持されていることが分かる。

 映像授業の提供だけに留まらず、河合塾ではチューターと呼ばれる進路指導を行うスタッフが、一人ひとりの学習の取り組み状況を確認し、電話面談など個々の状況に応じたサポートを繰り返していたという。

 河合塾立川校の最上芳光校舎長はこう振り返る。「河合塾の特長のひとつは、塾生の反応を拾い上げ、塾生の理解度によって進化させていく対面授業です。しかし今回のような非常事態を受け、映像を中心とした授業になったとしても、少しでも一人ひとりにあった指導を継続できるように工夫し、塾生に満足してもらえるサポート方法を模索し続けました」

 「この春、高校1年生は高校生活をスタートすることができず、高校2年生も打ち込んでいるはずの学校の活動や部活動ができませんでした。高校3年生は志望校を固める時期ですし、数学Ⅲなどの分野はこれから履修する高校もあります。また、2021年から始まる大学入学共通テストへの不安も膨らんでいると思います。電話で塾生と話してみると、学習の遅れや生活リズムの乱れまで、悩みはさまざま。学校の課題も映像授業の視聴も思うように進まないという生徒も多い印象でした。ずっと家で勉強するというのは、周囲の状況が見えなくて、つらかったのではないでしょうか」と最上校舎長は指摘する。

離れていても、モチベーションを低下させないために

 塾生に映像授業の感想を聞くと、「自分のペースに合わせていつでも取り組める」「分からないところを繰り返せる」「映像を停止できるので板書のノートやメモがとりやすい」など、利点を挙げる声が多かったという。

 休校中の過ごし方を振り返る塾生たちの声は十人十色。本来ならば部活動にあてていた時間・熱量を勉強に使った生徒、大学受験や将来のことまで中・長期的に熟考したという生徒。時間を決めてSNSを存分に楽しんだ上で、メリハリをつけて勉強することで集中できるようになったという生徒もいたという。また、休校中の学習進度に焦り、自力で勉強しないと出遅れてしまうという危機感から、高校の休校中も必死に勉強を進めている生徒もいたとのこと。

 しかし一方で、「勉強中についスマートフォンを見てしまう」「モチベーションが上がらない」「周りはどれくらい進んでいるのか、自分は理解できているのか心配」という声も多かった。浮かび上がったのは、漠然とした不安や学習継続の難しさだった。

「学習計画を立てても、崩れてしまうことはよくあります。計画を調整して、また取り組んでいく。その繰り返しです」と話す最上校舎長
「学習計画を立てても、崩れてしまうことはよくあります。計画を調整して、また取り組んでいく。その繰り返しです」と話す最上校舎長
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 映像授業では補えない悩みをどのようにサポートしていくのか-。

 立川校では若手スタッフのアイデアから5月19日、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を活用した高校3年生向け『自宅学習期間応援イベント 学習法ガイダンス』を実施した。

 英語科の人気講師・森千紘先生と若手スタッフがタッグを組み、2回のイベントに合計76人の塾生が参加した。講師と話しながら場が和み、同じ教室で悩みを共有しているような雰囲気に包まれたという。イベント後のアンケートには、〈同じ悩みの人がいると知ることができた〉〈予定通りに進まない不安が解消された〉〈今の時期に大切なことが分かった〉〈勉強がはかどっていなかったけれど、これからがんばることが大事〉など、前向きな声が綴られていた。

 「英語だけではなく、ほかの科目についても次々に質問があがり、〝やっぱり困っていたのだな〟という印象を強く受けました。講師やスタッフ、一緒に学ぶ仲間とのコミュニケーションが、モチベーションを維持していく大きなカギになっているのは間違いありません」と、最上校舎長は分析する。

 万が一、再び対面授業ができない状況になったとしても、映像授業に加え、電話面談やZoomなどそれぞれの利点を活かして、講師・スタッフ・仲間とコミュニケーションを図り、より良い学習効果を生み出していくためのアイデアが集まっているという。

 現在、河合塾では6月下旬から順次、対面での授業を再開し、自習室なども利用できるようになっている。だが、東京都を中心にコロナウイルスの発生状況はいまなお収束しておらず、第2波や秋以降の再流行が懸念されている。

 河合塾では、高校生たちのさまざまなニーズに合わせた学習を推進していく試みが続いている。対面授業によるレベル講座(通年)を中心に、自由な組み合わせが可能な映像によるセレクト講座を組み合わせるカリキュラムを提供。塾生の理解度にあわせて指導する「対面授業」と、自分の都合の良い時間に視聴できる「映像授業」を組み合わせながら、継続的なコミュニケーションを通じて学習意欲を高め、一人ひとりにフィットした学習の実現を推進している。

立ち止まらず、前に進め

 最上校舎長は、全国の高校生に向けてこのようなエールを送る。「高校1・2年生は、このような状況下だからと言って焦る必要はありません。まずは仲間と切磋琢磨して、学ぶ喜びを味わってください。高校3年生はこれから各々の目標へ挑戦する時期です。不安だ…と行動に移せなくなっている人もいるかもしれませんが、立ち止まらず、前に進みましょう。自分がどういう状況にあるのかを考え、目標に向かってやるべきことをコツコツ積み重ねていくことが大切です。河合塾は、さまざまな角度からみなさんを全力でサポートします」

「休校による影響も新入試制度への挑戦も、全員が同じ条件下にあります。大切なのはこれからですよ」とメッセージを送る
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  河合塾では、学習に不安があるすべての高校生に向け、新大学入試特別講演会の動画配信(無料)など、さまざまな学習支援コンテンツを提供している。
 抽選で計5000人にオリジナル問題集をプレゼントする企画では、これから重要視される英語4技能に欠かせない2200単語を厳選した『ユニット英単語2200』、来年実施される大学入学共通テストに対応した『共通テスト総合問題集(英語)』(河合出版)への応募を受け付けている(8月31日受付終了)。
 詳しくは、河合塾のホームページへ。

提供:河合塾

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