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【話の肖像画】女流囲碁棋士・謝依旻(30)(5)プロ3年目「初代若鯉」で自信

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第8期女流最強戦で優勝(左端)。林海峰名誉天元(中央)と師匠の黄孟正九段に見守られながら対局を振り返る =平成18年12月(日本棋院提供)
第8期女流最強戦で優勝(左端)。林海峰名誉天元(中央)と師匠の黄孟正九段に見守られながら対局を振り返る =平成18年12月(日本棋院提供)

 《平成16年4月、男女同一の採用試験をクリアし、正棋士としては女性最年少の14歳4カ月で入段。5月17日に初戦を迎えた。竜星戦で有村比呂司九段に敗れたが、第2局で初勝利を飾った。1年目の成績は8勝6敗だった》

 ちょっとだけですが、勝ち越すことができたのは上出来かな。研究会で持ち時間が短い(それぞれ1分など)練習対局を打つのと、公式戦の対局で3時間持って打つのとは違うと実感しました。プロ試験は3時間でしたが、プロとしての対局は未知の世界。うまく打てるんだろうか、と。徐々にプロの対局とはどういうものか、慣れていきました。

 《プロ3年目の18年に結果を出す。非公式戦ながら30歳以下、六段以下の53人が出場した新設の「若鯉戦」で優勝を果たしたのだ》

 自信になりましたね。まさか「初代若鯉」になれるとは…。子供の頃から知っている(台湾出身の)李沂修(り・いしゅう)さん(現八段)のほか、安斎さん(伸彰七段)、首藤さん(瞬八段)ら年上の強い棋士にも勝つことができるなんて、思ってもみなかった。2年目の半ばから半年間、あまり勝てず初めてスランプのような状態を経験していたので、よけいにうれしかったです。

 私は(正棋士枠の)2位でプロになったんです。若鯉戦の前にあった(20歳以下が対象の)中野杯では準優勝でした。決勝で負けたのが井山さん(裕太三冠)だから、仕方ない面もありますが…。その前年の女流最強戦も、女流棋聖戦も準決勝で敗退しています。1番になったことがなかった。1回でも優勝することができれば、次もまた優勝を狙えるけど、勝った経験がないと「果たして自分は優勝できるんだろうか」と考えるわけです。

 連覇はなりませんでしたが、若鯉戦では次の年も、ベスト4に入ることができました。しっかり打てば、男性とも勝負になると、手応えをつかめたのかもしれません。

 《快進撃は続く。18年末、第8期女流最強戦で優勝。17歳1カ月での女流タイトル獲得は当時の最年少記録だった。しかも女流本因坊を保持していた矢代久美子六段、女流棋聖を持っていた万波佳奈四段といったタイトルホルダーを破っての快挙だった》

 他の棋戦でも勝てるようになったのは、公式戦ではなかったけど若鯉戦で優勝できたのが大きいですね。この女流最強戦は持ち時間が1時間の棋戦。一方で若鯉戦は、NHK杯(トーナメント)方式といわれる1手30秒以内プラス1分の考慮時間が10回ある早碁。苦手意識とまではいかないが、(素早い判断が求められる)早碁はどうだろうという思いがあったので、若鯉戦を優勝できたことで、思っているほど苦手ではないのかな、と感じたような記憶があります。

 ただ同じNHK杯方式の持ち時間である女流棋聖戦は、(22年に)20歳まで勝つことができず、本戦のベスト4が最高。そのあとは計7回優勝するまでになりましたが、それまでは縁がなかったですね。(聞き手 伊藤洋一)

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