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【話の肖像画】女流囲碁棋士・謝依旻(30)(1)2カ月ぶりの対局に緊張感

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女流囲碁棋士・謝依旻さん(萩原悠久人撮影)
女流囲碁棋士・謝依旻さん(萩原悠久人撮影)

 《囲碁の女流タイトル通算27期は歴代最多。12歳のときに台湾から来日し、プロ17年目を迎えた。第一線を走り続けてきたが、この春だけは様相が違った。新型コロナウイルスの影響で対局がなかったから》

 久しぶりの対局で緊張感を味わいました。6月1日にテレビ局のスタジオで、4日に日本棋院で対局しました。対局はいつも一生懸命ですが、普段以上に気合が入ったというか…。5歳で囲碁を始めてこれほど長く、人と向き合わないなんて初めて。新型コロナの感染拡大を防ぐ自粛期間で、当たり前に対局できたことが、決して当たり前ではないと気づかされました。

 4月8日から、囲碁の公式戦はすべて休止、延期になりました。その前に打ったのが4月2日で、この2カ月間はなんのストレスもなく過ごせました。私は旅行したり、街中を歩いたりすることが好きなので、どこにも行けないのはつらかったのですが、周りの方々のサポートのおかげで安心、安全に家で囲碁ができました。棋士は何人かで集まって「研究会」と呼ばれる勉強会を開きます。練習対局をしたり、実際の対局で打たれた手に対し、他にもっと良い手があったのではないかなど、考え方が違う棋士が意見を出し合い、それぞれの上達につなげようとするものです。この2カ月間は集まっての研究会はできませんでしたが、家にいたほうが静かに勉強できるのでは…とも思いました。練習対局で負けるのも悔しいですが、生活には影響しない。一方、対局は勝敗が自分(の収入)にはね返るから、やっぱり緊張しますね。

 《3月末から4月末まで、自身のツイッターで、ファンに向けて棋譜並べを披露した》

 家にいても楽しんでいただけるように、面白そうな棋譜を33局紹介しました。タイトル戦で出現した局面や漫画「ヒカルの碁」の中の有名な場面、AI(人工知能)対トップ棋士の対局、何百年前の布石が今でも通用するよ-などと説明して…。自分では理解していても、限られた文字数で説明するのは難しい。選んではみたものの、手数が長いから途中で取りやめたものも何局かある。1つの棋譜を紹介するのに2~3時間考えたり、“明日はこの棋譜を取り上げよう”と1日寝かせて頭のなかで整理したり…。毎日のようにネット対局もしていたので、棋士人生で質・量ともに一番勉強した期間かも。“今までどれだけ勉強しなかったんだ”といわれそうですが。(聞き手 伊藤洋一)

【プロフィル】謝依旻

 1989(平成元)年、台湾生まれ。日本棋院東京本院所属、六段。黄孟正(こう・もう せい)九段門下。平成14年に来日し院生に。16年に男女同一の正棋士採用試験でプロ入り。14歳4カ月での同試験入段は女流棋士最年少。18年には女流最強戦を17歳1カ月で優勝(当時の女流最年少記録)。女流名人・女流本因坊・女流棋聖をいずれも5連覇以上し「名誉称号」を名乗る資格を得ている。

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