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洗練された鋭い視点 注目集める米写真家ソール・ライター 

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「薄紅色の傘」1950年代、発色現像方式印画(C)Saul Leiter Foundation
「薄紅色の傘」1950年代、発色現像方式印画(C)Saul Leiter Foundation

 第一線のファッション・カメラマンとして米ニューヨークで活躍後、商業写真の世界から姿を消した写真家、ソール・ライター(1923~2013年)。近年にわかに注目されているアーティストの回顧展が、東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれている。約200点の作品からは日常に潜む美を拾い集めた姿が見えてくる。    (文化部 渋沢和彦)

 ソール・ライターの写真は、決して身構えたよそよそしい写真ではない。被写体も特別なものではなく、街の中で偶然、出くわした光景だったりする。たとえば「薄紅色の傘」は、画面上部に傘の一部が見えるだけ。人や自動車らしきものはぼかされているが、傘の骨や色彩は明快。色彩や形の対比が鮮やかで、おしゃれで洗練されている。風景を切り取る視点が鋭く、絵画的でもある。

 「私は単純なものの美を信じている。もっともつまらないと思われているものに、興味深いものが潜んでいると信じているのだ」

 彼は普段見過ごしてしまっているものに興味を抱く。道路が掘り起こされた誰も見向きもしない場所にもレンズを向け、なんの変哲ない場所も美に変えてしまう。それは人物も同じで、妹や友人など身近な人たちにも向けられ、生き生きと活写している。

 ソール・ライターはユダヤ教の聖職者を父にペンシルベニア州ピッツバーグで生まれた。1946年、大学を中退してニューヨークへ。絵画を制作していたが、仲間たちとの出会いから写真の技術を身につけていった。50年代末からファッション写真を始め、その分野で欠かせない存在となった。

 しかし81年、商業写真から突如、撤退してしまう。再び世に出たのは2006年。独出版社、シュタイデル社から写真集が刊行されると「カラー写真のパイオニア」として注目されることとなった。06年、米・ミルウォーキー美術館での初の個展開催を皮切りに、相次いで展覧会が開催されている。日本での初回顧展は17年、Bunkamuraザ・ミュージアムで開かれ、本展はその第2弾となる。

 ソール・ライターは89歳で亡くなったが、膨大な作品が残されていた。カラー作品だけでも8万点あるとされ、14年に創設された「ソール・ライター財団」によって整理作業が進められている。本展では晩年に撮影していたカラー写真も公開されている。表舞台から姿を消しても「決して創作はやめなかった」(同財団)という。

 展覧会ではカラーやモノクロ写真のほか、絵画なども展示し、写真家の全容を明かしている。

 「永遠のソール・ライター」展は、3月8日まで(2月18日休み)、一般1500円。問い合わせはハローダイヤル(03・5777・8600)。

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