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【想う】節目の「祈り」、全力で創作 福島出身の詩人・和合亮一さん(51)

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集大成となる「未来の祀りふくしま」の創作に意欲を燃やす和合亮一さん=福島市(芹沢伸生撮影)
集大成となる「未来の祀りふくしま」の創作に意欲を燃やす和合亮一さん=福島市(芹沢伸生撮影)

 東日本大震災の記憶の伝承、犠牲者の鎮魂と古里復興を目的に、新たな伝統文化創出を探る「未来の祀(まつ)りふくしま」の発起人として平成27年から「ふくしま未来神楽」の創作など、さまざまなイベントを手掛けてきた。

 「きっかけは、東日本大震災発生直後の平成23年3月16日から、ツイッターで発信し続けた『詩の礫(つぶて)』でした。福島のことを書き続ける中で『祈り』というものをすごく感じたんです」

 昨秋、詩集「QQQ」で第27回萩原朔太郎賞を受賞。詩の創作は主にシュールレアリスム(超現実主義)だが、『詩の礫』がたくさんの人に読まれたことで、詩の可能性を感じたという。

 「祈りを込めて、シュールレアリスムの世界で問いかけたのが『QQQ』。それが認められたという思いがあります」

 祈りにはさまざまな形がある、との思いを突き詰めた結果、行き着いたのが「未来神楽」という神楽だった。死者と生者が出会う場所で、鎮魂の思いと命のエネルギーの交感をしたいと考えた。

 「新しいことをやるのが自分には詩そのもの。神楽には死者と生者それぞれに思いを届けるような考えがあります」

 自分で台本を書き、周囲の人を巻き込み、誰も見たことがないものを作り上げる。これまで「白はだし」「天・天・天狗(てんぐ)」「恵比寿さま」などの作品を発表している。

 「踊りも、衣装も、お面も、みんなで考えます。僕は言葉を書いたに過ぎませんが、そこに関わった人が『自分にとっての震災』を宿していく。新しい未来神楽をやるとき、多くの人が『行ってみよう』となるのも、震災があったからだと思います」

 来年3月の震災10年に向け、メモリアルイベントを企画しているという。

 「福島市で群集劇と合唱、未来神楽をやろうと。イベントを通して宿る、祈りの強さや深さをみんなで探し発信したい。イベント出演を前提にした参加者を、全国から一般公募で集めようと考えています」

 これまで一緒にやってきたプロなどにも声をかけるが、いつも通り新しい作品は応募してきた人たちと一緒に作り上げる計画だ。

 「劇の脚本、未来神楽の台本、合唱曲、すべて自分で新たに書きます。それを皆さんに渡し1~2カ月に1回くらい集まってワークショップを重ねたい。専門家の手ほどきを受けながら、練習を積んでいく予定です」

 創作、公募、ワークショップの計画…やるべきことは山ほどある。準備にかけられる時間は、あまり長くはない。

 「公募の時期などを考えると、3月ごろまでには台本を仕上げないと…。『未来の祀り』の集大成になるものですから、頑張らないといけませんね」

わごう・りょういち 昭和43年8月18日生まれ、福島市出身。詩人。中原中也賞(平成11年)、萩原朔太郎賞(令和元年)などを受賞。東日本大震災後、福島の現状を詩の言葉でツイートした作品をまとめた詩集「詩の礫」は海外でも翻訳・出版され一昨年フランスの詩集賞を受賞した。

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