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「つづく」ための実践 ミナ ペルホネン/皆川明展 

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25年分の服、400着以上が並ぶ「洋服の森」は圧巻だ 撮影:吉次史成 
25年分の服、400着以上が並ぶ「洋服の森」は圧巻だ 撮影:吉次史成 

 デザイナーの皆川明が東京・八王子でひっそりとファッションブランド「ミナ(後にミナ ペルホネンに変更)」を立ち上げたのは、平成7年だった。生地から丹念に作られ、詩的な情趣をたたえた服はいまや、国境を超えて熱い支持を集めている。皆川とミナ ペルホネンの25年を、「つづく」をキーワードに読み解く企画展が、東京都現代美術館(江東区)で開かれている。

 ミナ ペルホネンは、いわゆるファッション界の王道からは外れている。流行の先端を走るどころか、流行を追うこともしない。

 「暮らしの中にあって、長く着られる特別な服を作りたい」と皆川は言い続けてきた。かたちは基本的にシンプルで、10年前の服であっても古びた感じはせず、確かに着続けるほどに愛着が増す服だといえる。

 秘密はやはり「生地からのものづくり」にある。手描きの図案から、オリジナルの生地が生み出されるまでの試行錯誤が興味深い。日々の観察から生まれた、アイデアのかけらのような言葉やスケッチの数々が所狭しと展示されている。

 モチーフは草花や動物、風景から抽象柄までさまざまだが、手描きの線の揺らぎなど、図案には独特の風合いや温度がある。それをテキスタイルとしてうまく“翻訳”してくれるのが、高い技術を誇る国内工場の職人たちだという。

 精巧に組み合わされたプリントや織り、繊細な刺(し)繍(しゅう)。一つ一つに込めた作り手の「思い」を、着る人にバトンのようにつなぐ。「つづく」にはそんな意味もあると皆川は言う。

 「つづく」には、サステナビリティ(持続可能性)への意識も含まれている。余(あま)り布を使ったバッグや小物なども好評だが、「素材を使い切ることは、ずっと意識してきた」と皆川。資源だけでなく、国内の繊維産地も含めて、良い循環を作れないものだろうか-。安い労働力を使い、短いサイクルで製造され使い捨てられるファストファッション全盛の時代だからこそ、本展は作り手だけでなく、服を選ぶ消費者にとっても考える一助となるだろう。

 フィンランド語でミナは「私」、ペルホネンは「蝶(ちょう)」。ロングライフデザインが息づく北欧への憧憬(しょうけい)を感じる。近年は衣服にとどまらず食器や家具、宿の監修など、皆川の関心は異なる領域へもつづき、広がっているようだ。

 16日まで、月曜休。(黒沢綾子)

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