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【ゴッホ展 作品連載(5)「糸杉」うねるタッチ

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フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》1889年6月 油彩・カンヴァス 93.4×74cm メトロポリタン美術館Image copyright(c) The Metropolitan Museum of Art.Image source: Art Resource, NY
フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》1889年6月 油彩・カンヴァス 93.4×74cm メトロポリタン美術館Image copyright(c) The Metropolitan Museum of Art.Image source: Art Resource, NY

 ゴッホは1888年秋、画家仲間のゴーギャンと南仏アルルで共同生活をするが、すぐに破綻をきたした。ゴッホは自分の耳を切り落とし、ゴーギャンは去ってゆくという、あまりにも有名な事件が起こる。

 翌年5月、ゴッホはサン=レミ郊外の精神療養院に入院した。ここで彼は新しいモチーフを見つける。療養院の広い庭に咲く花々などの植物や糸杉、オリーブなどの木だ。なかでも鑑賞者に強い印象を与えるのが糸杉である。

 糸杉は均衡のとれた木でありながら、それまでの西洋絵画にはあまり描かれてこなかった。地中海地方では墓地に植えられる木だったからだろうか。

 この絵は、盛り上がった絵の具がチューブから絞り出したかのようにみずみずしく見える。うねるようなタッチは木だけでなく、手前の藪や背景の空、雲なども同様だ。一方でそうした強いエネルギーと同時にまがまがしさも漂わせる。

=おわり

 「ゴッホ展」(産経新聞社など主催)は兵庫県立美術館で開催中。

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