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産経国際書展 産経新聞社賞に静岡から2人

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産経国際書展新春展で産経新聞社賞を受賞した藁科紅渕さん=富士宮市(那須慎一撮影)
産経国際書展新春展で産経新聞社賞を受賞した藁科紅渕さん=富士宮市(那須慎一撮影)
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 「第36回産経国際書展新春展」(産経新聞社、産経国際書会主催)で、静岡県内からは、長泉町の中村光枝さん(70)と、富士宮市の藁科紅渕(こうえん)さん(43)が一般公募部門の最高賞である産経新聞社賞に輝いた。多数の全国公募の中から栄えある賞に選出された2人に受賞の喜びと書への思いなどを聞いた。

【中村光枝さん】

 「まさか(最高賞を)取れるとは思っていなかったので、びっくりしました」。これまで十数回の応募で奨励賞を3回受賞しているが、「まだ勉強中」との思いから驚きを隠せない。それだけに所属する尚友会の小杉修史会長から電話で「おめでとうございます」と受賞の報を伝えられたときも「正月のあいさつには早いしなあ」と首をかしげたと笑った。

 受賞作は、現代書の「一字創作」という手法によるもので、「動」の字を題材に選んだ。題材として何を書くかを考えた際、「年齢とともに、心のときめきがなくなり、体が動かなくなってきたと感じていた。自分を励ます意味で選びました。いろんなことにときめいていたいので」と話す。

 展覧会への出品作は、尚友会が沼津市内の小学校体育館で実施する錬成会で書き上げている。ブルーシートを敷き、墨で汚れても大丈夫な服を着て、雄大に大きな筆を一気に振るう。応募作は縦長の和紙に「どう長く、動いているように書くか」を試行錯誤。「もっと(字を)崩してもよかったかな」と不満を残すが、師事する鈴木真眼(しんがん)先生からは躍動感を評価されたという。

 子供時代に習い事の定番である書道の経験はなく、「字がへたで、ご祝儀袋を書くのに3、4枚失敗し、上手になりたい」との思いで平成8年5月から本格的に書道を習い始めたそうだ。23年を経るが、未熟者と謙遜し「まだ幼稚園」と称し「雅号をつける域に達していないのよ。やればやるほど勉強することが、いろいろ見えてくる」。

 さらなる高みを目指し「創作のためには書道の基本からやらないと駄目なので、基本から勉強したい。だから飽きずにはまっちゃったのかしら」と柔和な笑顔をのぞかせた。(松本恵司)

【藁科紅渕さん】

 産経国際書展新春展に昨年、一昨年と出品し、奨励賞を受賞できたが、何とか産経新聞社賞を受賞したいと思い、1年間、真剣に準備をしてきた。それだけに、今回の受賞の喜びもひとしおだ。

 師匠の田中龍渕先生の文字と人柄にひかれて入門して以降、指導を受けながら、さまざまな作品に挑戦してきた。

 今回出品した作品は「蜀中送項斯誠同年回京」という王越の漢詩。「主人公、項斯誠の遠き故郷に残した年老いた親を心配し、思う、温かくも切ない詩の状況に感情を乗せて書き進めました」と振り返る。

 本業の呉服店での仕事をはじめ、各種カウンセラーもこなすなど多忙を極める中、今回は何とか書に向かう時間の確保に努めた。特に、締め切りまでの1カ月は、夜、家事などを終えた後、まず1時間ほど作品に込められた思いを想像するなど気持ちを準備。その後、一枚一枚、真剣に和紙に向かった。

 書の世界に入ったのは母の勧めで書道教室に通い始めた5歳のとき。以降、書の世界に触れ続け、大学は文学部で日本や中国の古書など書道を追求。卒論では王羲之の書についてまとめた。

 長い人生の中で今後目指すこととしては、「自分が好きな、伝えたいと思う言葉を書にして世に送り出すこと」と話す。理由は「言葉の力が大きいから」。自分が書いた文字を見ることでいろいろなことを感じ取ってもらえたらうれしいとも。

 幼い頃から、書や着付けなど日本文化に触れる機会を多く与えてくれた母に感謝する。母から受け継いだ日本文化を大切にする心を、今度は自らが次代に広く伝えていく番と身を引き締める。(那須慎一)

 新春展は2月3日まで国立新美術館(東京都港区六本木)で開催されており、産経新聞社賞をはじめ計780点が展示される。午前10時~午後6時(最終日は午後3時)。28日は休館。入場料500円。

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