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【中国観察】習近平氏の威信かけた新空港 北京の新「空の顔」は定着するか

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北京南部にできた新空港「北京大興国際空港」。建物には曲線が多用されたデザインが用いられている=2019年12月(三塚聖平撮影)
北京南部にできた新空港「北京大興国際空港」。建物には曲線が多用されたデザインが用いられている=2019年12月(三塚聖平撮影)
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 中国・習近平指導部の肝いりで建設された北京南部の新空港「北京大興国際空港」が、2019年9月下旬に開業した。「建国70年」の節目に合わせて開港にこぎ着けたもので、既存の「北京首都国際空港」と並ぶ国際ハブ(拠点)空港となることを目指している。ターミナルビルの設計には世界的な建築家が関わり、曲線が多用された特徴的なデザインを採用。22年に北京冬季五輪・パラリンピックの開催を控え、首都の新たな「空の顔」として存在感を発揮できるのか-。その成否は、指導部の威信にもかかわってくる。(中国総局 三塚聖平)

■着工から5年弱で開業

 北京大興国際空港が開業したのは19年9月25日。習国家主席自らが開業を宣言し、14年12月の正式着工から5年弱で開業に漕ぎつけた。

 単なる新空港のオープンではなく、習指導部による肝いりプロジェクトのお披露目として国内外で受け止められた。それは、中国にとって昨年最大の政治イベントだった10月1日の建国70年国慶節(建国記念日)を目前に控えた時期に開業を迎えたことからもよく分かる。北京市トップの蔡奇・共産党委員会書記は「国家発展の新たな動力源だ」と新空港の意義を強調した。

 北京大興国際空港は、北京中心部の天安門から約45キロの場所に位置しており、開港と並行して交通網の整備も進められている。空港と市街地を結ぶ地下鉄連絡線が開業し、北京市街南部の「草橋駅」から空港まで19分で結んでいる。

 習指導部の肝いりで建設が進められている新都市「雄安新区」からも近く、空港と雄安新区とを結ぶ交通網も整備予定だ。新空港は現指導部が構想する都市計画の中核的存在といえるだけに、失敗は許されないとの重圧にもさらされているのだ。

■曲線が多く使われたターミナル

 敷地面積は70万平方メートルで、ターミナル中央部から放射状にコンコースが延びるデザインが採用されている。中国メディアの報道によると、ターミナルビルの設計には、世界的に著名な女性建築家の故ザハ・ハディド氏(2009年に高松宮殿下記念世界文化賞受賞)が関わった。

 ザハ・ハディド氏は、2020年の東京五輪で使う新国立競技場の旧計画をデザインしたことで日本でも知られている。流線形や破片のような形を多用する斬新なデザインが持ち味で、技術や予算の問題で実現に至らないプロジェクトも多く「アンビルト(建設されない)の女王」との異名も生んだ。北京大興国際空港のターミナルビルにも曲線が多く使われており、未来的な印象を受ける。

 また、見た目だけではなく使いやすさの面でも工夫を施しているという。北京大興国際空港の王強氏は「利用客は短い時間で効率的に移動できるようになっている」と述べ、ターミナルで利用者が長い距離を歩かなくて済むようなデザインがとられていると強調する。顔認証技術を使った搭乗手続きによる利便性向上もアピールしている。

■国内外15社が就航

 空港側の説明によると、現在は海外8社を含む15航空会社が就航。既存の北京首都国際空港と比べるとまだまだ路線数は見劣りする。ただ、多くの国内外の航空会社が路線開設に関心を示しているといい、年間利用者数は22年までに延べ4500万人、25年までに延べ7200万人を目標としている。

 今後、北京大興国際空港の利用に影響を与えるとみられるのが22年に予定される北京冬季五輪だ。国内外から多くの観戦客や関係者が北京を訪れることとなり、新空港の使用者も増えるとみられる。

 冬季五輪を習指導部の“成果”作りにつなげることができるのか。北京大興国際空港はひとつの試金石となりそうだ。

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