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第一人者の座を死守、井山天元5連覇

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 苦しんだ末に、井山が第一人者の座を死守した。18日に徳島市で打たれた囲碁の第45期天元戦五番勝負の最終第5局で、井山裕太天元(30)が挑戦者の許家元(きょ・かげん)八段(21)を破り5連覇を達成した。同じくフルセットの末、山下敬吾九段(41)に勝利した昨年の天元戦では、七大タイトル獲得数を通算43期にして、趙治勲(ちょう・ちくん)名誉名人(63)を上回る歴代1位になっていた。今期は「名誉天元」の資格を得て名誉称号が4つに。5連覇か通算10期で名乗る資格を得る名誉称号で、小林光一名誉三冠(67)を上回り、歴代最多となったのだ。

 昨年、七大タイトルが単独1位になった際、井山は「ここを最終地点と設定したことはないので、棋士人生を振り返るのは、まだまだ早い。ここまでは順調にきたが、これからの方が重要」と語っていた。その通り、試練の1年になった。

 七大タイトルを2度独占するなど、平成の囲碁界を牽引してきた井山は、平成最後のタイトル戦である第57期十段戦(3~4月)で村川大介十段(29)に敗れ失冠。昨年失った碁聖と名人は、挑戦権さえ獲得できなかった。

 平成21年、20歳4カ月と史上最年少で七大タイトル保持者になった井山も、元号が「令和」へ代わった5月に30歳に。入れ替わるように台頭してきたのが芝野虎丸名人(20)だった。井山の記録を塗り替える19歳11カ月でタイトル保持者になった芝野とは、10~11月の王座戦で対局。1勝3敗で敗れ、その座を若者に明け渡した。

 「芝野さんは日本を代表する棋士であることは間違いない」と勝者をたたえていたが、むしろ若い世代が台頭してくるのを待ち望んでいた面もある。国内タイトル戦で結果を出すのはもちろんだが、日本勢が一丸となって中国や韓国棋士に勝ちたいという思いが、井山には強いからだ。

 国内タイトル戦の日程をぬうように11月26日に韓国・釜山市で打たれた国別団体戦「第21回農心辛ラーメン杯 世界最強戦」では、韓国勢や一力遼八段(22)、許八段ら7人を勝ち抜いた楊鼎新九段(中国)を撃破、日本総大将の貫禄を見せていた。この対局は来年2月に続く。

 さらに8連覇がかかる棋聖戦七番勝負は1月8日に始まり、5期連続出場がかかる第58期十段戦五番勝負(産経新聞社主催)の挑戦者決定戦(芝野名人-大西竜平四段の勝者)も控える。

 月に1度対局がある名人戦リーグや、各棋戦のトーナメントに国際棋戦も加わり、来年も多忙だ。挑戦者が決まるのを待っていた七冠時代より対局過多になりそうだが「日程が空くと、感覚がずれる」という井山にとって、忙しいのはむしろ歓迎。第一人者の座は、まだまだ譲らない。

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