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揺らぐ「現実」 怒る人、泣き出す人も… 「目 非常にはっきりとわからない」展

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 見上げた空に知らないおじさんの顔が浮かんでいたり、美術館の一室に突然、波打つ海原が現れたり。現代アートチーム「目(め)」は既存の空間を変容させ、人の認識に揺さぶりをかける作品で注目されてきた。美術館での初個展「非常にはっきりとわからない」が千葉市美術館(同市中央区)で開かれ、若い世代を中心に話題を呼んでいる。

 「世界の認識がガラリと変わってゾッとします」「楽しかった」「タイトル通り過ぎてお手上げ」…。SNS上にはさまざまな感想が並ぶ。普段、同館の来場者の多くは中高年層だが、今回は30代以下が半数を占めるという。しかも週末には千人を超える来館者で待ち時間が出るほどだ。

 館全体を使ったインスタレーション。入館者は1階で受付を済ませ、7・8階の展示室に向かうことになる。ただ、1階ロビーから既に様子がおかしい。梱包された絵画や彫刻らしきものが置かれ、工事中のようなたたずまい。実際に同館は本展の会期終了後、来年7月のリニューアル開館に向け改修期間に入るから、ややこしい。

 種明かしになるのでこれ以上の描写は控えるが、美術館とか展覧会とか鑑賞とか、私たちが何となく「当たり前」としてきた予定調和を揺るがす展示だ。「何だこれは!」と怒って帰ってしまう人、「現実の光景なのか」と不安になり、泣き出す人もいたという。

 目は現代美術家の荒神明香(こうじんはるか)、ディレクターの南川憲二、インストーラー(制作や設置担当)の増井宏文の3人組。千葉といえば「チバニアン」、つまり千葉県市原市の渓谷に、地球の磁場逆転の痕跡を示す地層を見に行き、そこで感じたことを個展のベースにしたという。

 「僕らが立つ地面の下には、天変地異の連続がダイアリーのように刻まれているんだなと思った」と南川。「自分たちにはどうにもならない途方もない視点から、自分たちを取り巻く現実や、美術館という空間をみてみたいと考えた」

 会期中、何度でも来館できるチケット(一般1200円)は同館初の試み。「わからない」を通り越して、「そもそもわかるって何?」と自問自答させられる。28日まで。(黒沢綾子)

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