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甲府の印傳博物館が開館20周年 革工芸文化伝える

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印傳博物館に常設展示されている「ふすべ技法」の道具「太鼓」。回転させながら煙でいぶし、貼り付けた鹿革に色や模様をつける=甲府市中央(渡辺浩撮影)
印傳博物館に常設展示されている「ふすべ技法」の道具「太鼓」。回転させながら煙でいぶし、貼り付けた鹿革に色や模様をつける=甲府市中央(渡辺浩撮影)
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 鹿革に漆で模様を施す伝統工芸品「甲州印伝」の最大手、印傳(いんでん)屋上原勇七(甲府市川田町)が運営する印傳博物館(同市中央)が、平成11年の開館から20周年を迎えた。

 印傳屋は本能寺の変が起きた安土桃山時代の天正10(1582)年創業。博物館は、自社製品に限らず全国から印伝などの鹿革工芸品や道具、書物など約1600点を集めて収蔵庫に所蔵し、その一部を展示室で公開している。

 開館に携わった出沢忠利取締役総務部長(71)は、漆工芸研究の大家である荒川浩和・元東京国立博物館工芸課長(90)の勉強会に平成元年ごろから参加し、博物館の構想を温めていた。今年1月に亡くなった13代目上原勇七氏に提案したところ、OKが出たという。

 甲府空襲で印傳屋の倉庫も甲府の街も焼けたため、古い印伝はあまり残っていないという。戦後も印傳屋は製品を資料用に保管しておくことはしなかったため、「全国各地を回って買い取ったり、寄贈を受けたりして増やしてきた」と出沢取締役は苦労を振り返る。

 来年2月16日まで開館20周年記念展「印傳の更紗(さらさ)・受け継がれた技」が開かれている。更紗はインドから伝わり、江戸時代に広まった模様染めで、印伝の場合、色ごとに型紙を変えて色を重ねる技法。

 更紗の作品を中心に132点を公開している。赤や緑、オレンジ色を組み合わせ、金箔(きんぱく)も使われている二つ折り財布は、昭和30年代以前に作られたとみられる。「大黒正宗」という神戸・灘の日本酒とみられる名称が刻印されており、顧客に配ったとも推定されるが、はっきりしないという。

 説明してくれた田所美香研究員(44)は出沢取締役の長女で、荒川氏の教えを受けている。「博物館を通じて、これからも日本の革工芸文化を伝えていきたい」。父娘は口をそろえた。(渡辺浩)

印傳博物館 甲府市中央3の11の15。電話055・220・1621(自動音声案内)。開館は午前10時~午後5時。年末年始などは休館。入場料は大人200円、小中学生100円。

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