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JR西終電繰り上げ、滋賀で波紋 遅い終電が売り

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高層マンションが建つJR南草津駅周辺。午前0時台でも大阪、京都からの直通電車が運行している=滋賀県草津市
高層マンションが建つJR南草津駅周辺。午前0時台でも大阪、京都からの直通電車が運行している=滋賀県草津市

 JR西日本が近畿圏の在来線で、午前0時過ぎを中心にダイヤを見直し、終電時間を繰り上げる検討を始めたことで、滋賀県内に波紋が広がっている。終電の時間が遅いなど、交通の利便性の高さが魅力で、京阪神のベッドタウンとして人気がある大津市や草津市など湖南エリアの住民に大きな影響が出る可能性があるためだ。JR沿線の自治体などからは住民の減少につながりかねないといった懸念の声があがっている。(大島直之)

 終電繰り上げについてJR西は終電後に設備の保守点検を行う作業員の減少に伴う労働環境改善などを理由に挙げる。早ければ令和3年春のダイヤ改正での実現を目指す。

 影響が大きいとみられるのが、大津市、草津市、野洲市といったJR琵琶湖線、湖西線の沿線。京阪神方面からの列車が遅くまで走り、野洲駅には午前0時以降、大阪、京都からの新快速が4本到着する。野洲市は「京阪神への良好なアクセスは住民からも評価されている」(企画調整課)と強調する。

 湖南エリアの駅周辺は、京阪神へのアクセスの良さを売り物にしたマンションの建設が進み、住民の増加につながっている。野洲駅近くのマンションに住む主婦(70)は「ここ10年で駅周辺にマンションが多く建ち、人口も増えて街がひらけた」と話す。

 終電時間の繰り上げは街の魅力低下に直結するだけに、同市の山仲善彰市長は「県人口の社会増減(住民の転入数と転出数の差)を増やす妨げになる」と懸念を強めている。

 一方で、働き方改革の浸透から終電繰り上げに理解を示す声もあがる。大阪から仕事で定期的に草津市を訪れるという男性会社員(56)は自身も建設保守に携わることもあり、「インフラやメンテナンスはどこも人手不足。終電繰り上げは仕方ない」と話す。

 不動産市況への影響は限定的との見方もある。不動産経済研究所の笹原雪恵大阪事務所長は「草津などは行政サービスが評価されて人気になっている。これでマンション需要が落ちることは考えづらい」と指摘する。周辺には京セラ、村田製作所、オムロンなど大企業の事業所が多数立地。雇用も増加しており、今後も一定のマンション需要はあるとみている。

 三日月大造知事は「終電の繰り上げ、始発の繰り下げがあるならば、日中の運行頻度をあげてほしい」と提案。県としては「今後の情報や議論を見守りたい」とJR西の動きを注視する考えを示した。

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