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山伏神楽「番楽」引き継ぐ 子供が舞を披露 山形・真室川

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「もちつき」を演じる八敷代番楽保存会の子供たち=24日、山形県真室川町(柏崎幸三撮影)
「もちつき」を演じる八敷代番楽保存会の子供たち=24日、山形県真室川町(柏崎幸三撮影)
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 山形県北部の山間にある真室川町で、江戸時代中期から伝わる山伏神楽(かぐら)の一種「番楽(ばんがく)」を次世代に引き継ぐ取り組みが地域を挙げて行われている。高齢化の進行とともに伝統の舞が廃れかねないとの危機感から、発表の場として「ふるさと子ども伝承祭」を創設。幼稚園児や児童たちが日頃練習した番楽、お囃子など今年も披露し、集まった町民らが盛大な拍手を送った。

 ■集約と「伝承祭」立ち上げ

 番楽は山岳信仰で栄えた東北地方の山麓で、かつて修験道の山伏たちが行った神楽。真室川町の番楽は、現在の秋田県由利本荘市から同町の八敷代地区に伝わった後に釜淵、平枝、小国、山屋、及位(のぞき)、鏡沢、大滝、下春木の計9地区に広がった。

 しかし、演者の高齢化が年々進み、このままでは後世に残すのが難しくなることから、子供たちが舞台に立つ伝承祭を地域の人たちが立ち上げ、平成15年度から開催。保存会をかつての9地区から平枝、釜淵、八敷代の3つに集約し、番楽を守り伝えてきた。

片足で跳ぶように舞う釜淵番楽の「三人太刀」=24日、山形県真室川町(柏崎幸三撮影)
片足で跳ぶように舞う釜淵番楽の「三人太刀」=24日、山形県真室川町(柏崎幸三撮影)
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 今年の伝承祭は11月24日、町中央公民館で開催。最古の「八敷代番楽」では太夫、婆さまらが登場する「もちつき」が演じられた。爺さまが「あずき(小豆)もふけたし、もちも煮えた。わっつぐ、たのむぞ」と言うと、太夫が「わかっだ、小さな子、頼むど」と応じ、もちつきが始まるストーリだ。

 太夫を演じた真室川北部小3年の庄司姫華さん(9)は「ふだん使わない言葉が難しかった」と話した。同小1年の庄司百合華さん(7)と三上紗弥さん(6)が「小さな子」を好演。かわいらしいもちつきに会場の観客には笑顔が広がった。

 爺さま役で、お囃子も担当した佐藤隆一さん(75)は「16歳のときから番楽を演じてきたが、心を伝える地域の伝承芸能を通し、子供たちが何かしらを感じてもらえればいい」と話した。

 ■1人で15分、豊作を願う

 このほか「釜淵番楽」は堂々とした前口上が特徴。「三人太刀」は、3人の武者が持つ太刀を代わる代わるくぐるように舞う。最後の演目「三番叟(そう)」は1人で15分間を踊り切る。間違えれば不作となり、うまく舞えば豊作になると伝えられ、かつては村全体の運命を背負う舞だったという。この日は見事な舞が演じられ、来年の豊作に期待が高まった。

 伝承祭を見終わった最上北部商工会会長の高橋智之氏(54)は「自分の生まれた古里に誇りを感じた」と感慨深げに話した。東北文教大の菊地和博教授(民俗学)は「子供たちは番楽、わらべ唄の練習を通じて協調性を学び、郷土愛も生まれてくると思う」と語り、「番楽の里」の取り組みを高く評価した。

平枝少年番楽の「三番叟」=24日、山形県真室川町(柏崎幸三撮影)
平枝少年番楽の「三番叟」=24日、山形県真室川町(柏崎幸三撮影)
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