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動物虐待「通報どこに?」を解決 関西で共通相談窓口開設広がる

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保護され、新しい飼い主が見つかるのを待つ子猫たち=8月、大阪市住之江区のおおさかワンニャンセンター
保護され、新しい飼い主が見つかるのを待つ子猫たち=8月、大阪市住之江区のおおさかワンニャンセンター
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 動物虐待の通報や相談を警察や行政がワンストップで受け付ける「共通ダイヤル」を開設する動きが関西で広がりつつある。兵庫県警が平成26年に全国で初めて開設したのに次いで、今年10月には大阪府でも専用窓口がスタートする。これまでは複数の窓口があり、「どこに通報していいかわからない」といった声もあったが、一元化することで、飼育放棄なども含めた動物虐待の早期発見や防止につなげるのが狙いだ。(田中佐和)

 今年2月、ツイッターに投稿されたある動画が話題になった。

 場面は京都府内の路上。散歩をしていた大型犬が突然、飼い主の女性に腹部を激しく蹴り上げられた。倒れ込んだ犬は一瞬驚いたように女性を見上げると、すぐによろよろと立ち上がり、女性に寄り添うようにまた歩き出した。

 動画は第三者が撮影し投稿したもので、犬はその後、動物保護団体に保護された。こうした現場を目撃したとき、まずどこに相談するのが適切なのか。

 警察は虐待事件は捜査するが、虐待未満の不適切な飼育は行政対応になる。だが、一般市民にその線引きは難しく、相談しても窓口をたらい回しにされるケースは少なくない。

 こうしたケースをなくそうと、大阪府は10月から共通ダイヤル「おおさかアニマルポリス#7122(悩んだら・わん・にゃん・にゃん)」を開設。全ての虐待相談を一括して行政が受け付け、担当者が犯罪だと判断すれば大阪府警に連絡、そうでなければ行政で対応する。

 環境省によると、大阪府内で29年度に飼育放棄などで行政に引き取られたイヌ・ネコは計2471匹。年々譲渡数が増えてはいるものの、うち1745匹が殺処分された。

 吉村洋文知事は「動物愛護行政は縦割りなのが課題だった。警察もコミットしていることをアピールし、少しでも動物虐待を減らしたい」と意気込む。

 一方、動物虐待を「凶悪事件の前兆」と見据え、目を光らせているのが兵庫県警だ。動物虐待が対人暴力に発展する可能性は、過去の事件でも指摘されている。9年の神戸連続児童殺傷事件では、加害少年は事件前に猫を殺害し首を切断していた。

 県警の共通ダイヤルには開設直後の26年1月~27年2月は194件の相談があったが、現在は1日数件。深刻な虐待は警察署に直接通報する人が多く、立件に至った相談はないという。周知と実効性が課題だが、県警幹部は「受けた相談は行政と共有し、深刻な虐待に発展するのを防げている」と意義を強調した。

改正動物愛護法で厳罰化

 動物虐待をめぐっては、法規制の面でも厳罰化が進んでいる。6月に成立した改正動物愛護法では、ペットの殺傷に対する罰則を現行の「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」と倍以上に引き上げており、専門家は「虐待の抑止力になる」と期待する。

 動画投稿サイトなどSNSの普及で動物虐待は可視化が進み、世間の注目度も高い。さいたま市で平成28~29年、猫13匹を殺傷したとして動物愛護法違反の罪に問われた元税理士の男の公判では、猫に熱湯をかけたり、ガスバーナーであぶったりする様子を動画サイトで公開していたことが明らかに。だが、29年12月の東京地裁判決は懲役1年10月、執行猶予4年で、厳罰化の世論が高まるきっかけとなった。

 動物虐待に詳しい石井一旭弁護士(京都弁護士会)は「執行猶予がつくのは懲役3年以下の場合。法改正で初犯でも実刑になる可能性が出てくるため、虐待の抑止につながるだろう」と評価。その上で、「警察や行政が一層意識を高め、虐待防止の仕組み作りを続けることが重要だ」と訴えた。

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