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終戦の日のお言葉 上皇さまの思い継承された天皇陛下

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全国戦没者追悼式を退席される天皇、皇后両陛下=15日、東京都千代田区の日本武道館(松本健吾撮影)
全国戦没者追悼式を退席される天皇、皇后両陛下=15日、東京都千代田区の日本武道館(松本健吾撮影)

 「全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」。天皇陛下は初めて臨席された15日の全国戦没者追悼式で、平和への思いを訴えられた。この日のお言葉を含め、陛下の先の大戦に関する発言からは、「戦争を知らない世代」であるからこそ慰霊に関する公務を重ね、先の大戦の記憶と上皇さまの思いを、次代へつなごうとするご意志がうかがえる。

 「浩宮にとっては本当に過去の歴史になるわけですね。それだけにやはり身近に感じないということがあると思います」。上皇さまは陛下が昭和62年に沖縄を初めて訪問される前年、先の大戦について、そう指摘された。平成5年には知人に対し、先の大戦を念頭に「自分はブリッジ(橋)」という表現で、昭和天皇と陛下の橋渡し役としての象徴天皇像を語られている。

 象徴としての活動の中でも「慰霊」に重きを置いてこられた上皇さまの姿や話を、陛下は幼少期から間近で見聞きしてこられた。これまでの記者会見でも「本当に戦争を知らない世代」(昭和62年の外国訪問前会見)と、ご自身が戦後生まれを意識する一方、公務で広島や長崎、沖縄を訪れると、戦没者の慰霊碑や関連施設に足を運ばれてきた。

 慰霊を重ねる過程で、陛下は記憶の風化を懸念し、継承の必要性に言及されることが増えた。

「戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切」(平成27年の誕生日会見)

 28年の誕生日会見では「過去の経験に少しでも触れる機会」を通じて慰霊に努めるとし、上皇ご夫妻から「私たち家族そろって、疎開のお話など、戦時中のことについてうかがう機会があり、愛子にとってもとても有り難いことと思っております」と述べられた。

 両陛下の長女、敬宮(としのみや)愛子さまは29年、学習院女子中等科の卒業記念文集に、修学旅行での広島訪問を振り返る文章を寄せられた。  「他の人を思いやるところから『平和』は始まる」「『平和』についてさらに考えを深めたいときには、また広島を訪れたい」-。

 広島平和記念資料館(原爆資料館)元館長の原田浩さん(80)は修学旅行生らに体験談を話す際、愛子さまの文章を示すという。「上皇さまと陛下を通じ『広島』がきちんと受け継がれている」(原田さん)

 陛下の平和への思いは国内に限ったものではない。28年の誕生日会見では諸外国で続く紛争に触れ「紛争の惨禍が終結し、いつの日か世界全体に平和が訪れることを願っております」とご指摘。5月に皇居・宮殿で行われた一般参賀ではお言葉の中に「わが国が諸外国と手を携えて世界の平和を求めつつ」との一節を盛り込まれた。宮内庁幹部は「先の大戦の記憶を受け継いだ上、象徴天皇として何ができるか、模索を続けられるだろう」と話している。

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