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父子家庭 孤立防げ 悩み共有 社団法人設立へ

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 行政の支援が遅れがちな父子家庭の孤立を防ぐため、大阪市の男性が社団法人を立ち上げようと奮闘している。交流会などを重ねて父子家庭の意見を集約し、少数派ゆえに見過ごされてきた父子家庭の実情を全国の自治体に発信する考えだ。(小松大騎)

 男性は大阪市城東区の会社員、今井智洋(ともひろ)さん(31)。きっかけは職場の先輩が離婚してひとり親になり、子供2人の育児と仕事の両立に悩んでいたことだった。周囲に相談できる人がいないとこぼす姿が、心身の不調で約1年半休職した自身の状況と重なり、「ひとり親の孤立を防ぎ、気軽に集まれる場所が必要」と思い立った。

 インターネットサイトで参加者を募って、クリスマスパーティーやハロウィーンの仮装大会など月1~2回のペースで交流会を開催。これまでに延べ500人のひとり親が参加し、子育ての悩みを相談し合ったり、子供服や玩具の交換をしたりした。

 交流会を重ねるたびに浮かぶのは、父子家庭を取り巻く厳しい現状だ。父子家庭は支援制度を受けられる条件が母子家庭に比べて厳しく、子供を養うため収入を増やそうとすれば長時間労働となり子供たちとの時間が持てない上に支援制度の対象外となるジレンマに陥る。

 6歳と5歳の子供2人を育てている大阪府吹田市の会社員、秦裕史さん(39)は「男女の違いで支援が受けられないのは腑(ふ)に落ちない。父子家庭の実態に合った法整備が必要では」と訴える。

 「父子家庭支援が進まないのは、マイノリティーゆえに声を上げにくかったからだ」。今井さんは父子家庭の意見を集約し、全国の自治体に発信するため、社団法人「ひとり親支援協会」を立ち上げることを決めた。今後は、東京や名古屋でも交流会を開催し、全国の自治体に父子家庭の実情を伝える予定だ。

 今井さんは「父子家庭に対する世間の認知度はまだ低い。活動の範囲を広げて、将来的には行政と連携して、父子家庭を含めたひとり親家庭の支援をしていきたい」と話している。

■税制面で「母子」と差

 ひとり親家庭のうち、父子家庭は母子家庭に比べて年収が高い半面、親が平日に子供と過ごす時間が少ない傾向にある。

 厚生労働省の平成28年度の調査などによると、父子家庭は約19万世帯で、母子家庭(約123万世帯)の15%程度。父親の方が母親より長時間勤務する傾向があるといい、平均年収は父子家庭は420万円と母子家庭よりも約180万円高い。一方で、平日に子供が親と2時間以上過ごしているのは、母子家庭が約82%だが父子家庭では約65%にとどまっている。ふたり親家庭の約90%に比べると、かなり低い。

 年金や税制面でも差がある。遺族厚生年金には、男性にのみ年齢制限があり、妻の死亡時に夫が55歳以上であることなどが受給条件だ。所得税などを控除する寡婦(夫)控除も、男性が受けられる条件の方が厳しい。

 厚労省の担当者は「制度は『父親が外で働き、母親が家で子育てする』というかつての慣習の影響を受けており、男女平等の今の時代の流れを反映しきれていない」と話している。

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