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キチンナノファイバーに発毛効果、ミノキシジルを上回る カニ殻由来の新素材 鳥取大

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キチンナノファイバーに発毛効果、ミノキシジルを上回る カニ殻由来の新素材 鳥取大

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キチンナノファイバーの電子顕微鏡写真(伊福伸介・鳥取大教授提供) 1/1枚

 カニ殻に含まれる極細の繊維状物質に高い発毛効果があることが、鳥取大などの研究で分かった。マウスの背中やヒトの毛根にある毛乳頭細胞を使った実験では医薬品成分「ミノキシジル」よりも効果があった。研究チームは、「既存の育毛剤に混ぜる」などの方法で実用化したいと話している。

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 実験では、カニ殻を分解して得られるキチンナノファイバー(CNF)の性質を改変した「キトサン化CNF」を剃ったマウスの背中に塗り、他のさまざまな素材と発毛効果を比較した。その結果、毛の長さ、毛の面積率、成長期の毛根数で、キトサン化CNFが発毛剤リアップ(大正製薬)の有効成分として知られるミノキシジルを上回った。

 またヒトの正常毛乳頭細胞を用いて同様に比較したところ、血管新生量、毛母細胞の活性化量、毛乳頭細胞の増殖性でキトサン化CNFがミノキシジルを上回った。

 同大大学院工学研究科の伊福伸介教授らが発毛効果に着目したきっかけは、キチンやキトサンを含む既存の動物用医薬品を犬や猫のけがの治療に使うと毛根まで再生されて毛が生えそろうことが知られていたため。また、皮膚炎マウスの治療にキトサン化CNFを用いてみると毛がよく生えた。

 伊福教授はメカニズムについて、「よく分かっていないが、そのサイズや形状から毛根深部に入り込んで、毛乳頭細胞を刺激して血管内皮増殖因子や線維芽細胞増殖因子といった発毛に関わる物質の産出を増やしているのではないか」とみている。

 キトサン化CNFは、肌に対する安全性の試験はクリアしており、化粧品などで製品化されている。今後は、発毛促進のメカニズムについて調べるとともに、医学部と共同研究するなどして大型の動物やヒトでの臨床試験を経て実用化したいとしている。医薬品として開発するよりも、主に既存の発毛剤に混ぜて相乗効果を上げるなど添加剤的な使用法を目指す。

 キチンナノファイバーは、カニやエビの殻を分解することで得られる直径10~20ナノメートル(1ナノメートルは百万分の1ミリ)、長さ数マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1ミリ)という極細の繊維。木質のセルロースナノファイバーと同様に、フィルムなどの材料や食品、化粧品、医薬品などを高機能化する新素材として期待されている。(WEB編集チーム・原田成樹)