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LGBTのカミングアウト 身近に存在…環境整備を

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LGBTのカミングアウト 身近に存在…環境整備を

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「CLOSET IN HOKURIKU」に寄せられた写真(ダイバーシティラウンジ富山提供) 1/1枚

 性的少数者(LGBT)がドラマや漫画などメディアに取り上げられる機会が増えている。一方で、差別や偏見を恐れ、周囲に当事者であることを伝えていない人の方が圧倒的に多い。自分をLGBTと認め、自ら伝える「カミングアウト」をめぐる現状を取材した。(油原聡子)

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 東京都渋谷区で平成27年、同性カップルに「結婚に相当する関係」を認め、パートナーシップ証明書を発行する条例が成立して以降、LGBTへの社会の認知度は上がってきている。

 メディアでも、フジテレビ系で放映中のドラマ「隣の家族は青く見える」(木曜午後10時)では、自らが同性愛者であることを隠す一級建築士とその恋人の男性が登場。NHKBSプレミアムで3月4日にスタートするドラマ「弟の夫」(日曜午後10時)は漫画が原作。幼い娘と暮らす主人公の男性と、亡くなった弟の結婚相手だった男性との共同生活が描かれる。

 だが、自分の周囲にLGBTがいる、と考える人は少ないようだ。国の科学研究費助成事業の研究班(代表・広島修道大の河口和也教授)が27年に実施した調査では、職場の同僚や近しい友人、親戚や家族に「同性愛者がいる」と答えた人は5・3%、「性別を変えた人がいる」は1・8%にすぎなかった。

 ◆言わない理由も

 「カミングアウトしていない性的マイノリティーを『いないこと』にしてほしくない」-。富山大人文学部の林夏生准教授らによるプロジェクト「ダイバーシティラウンジ富山」は28年から、カミングアウトしていない当事者に写真とメッセージで思いを語ってもらう写真展「CLOSET IN HOKURIKU(クローゼットインホクリク)」を、北陸地方を中心に開催してきた。「クローゼット」とは、LGBTであることをカミングアウトしていない状態を指す。

 林准教授は「差別や偏見を恐れたり、親や友人を驚かせたくなかったり、さまざまな理由で言わないケースもある。身近にクローゼットの人がいると心にとめてほしい」と訴える。

 ◆「楽になれた」

 「宗嗣が病気になったときに、誰かがいてくれることが大事だから、それが男でも女でもいい」

 明治大4年の松岡宗嗣さん(23)は大学1年のとき、同性愛者であることを母親にカミングアウトした。優しく受け止めてくれた母の言葉に、肩の荷が下りたような気分になった。松岡さんは小学生の頃に自覚した。だが、当時はLGBTの情報は少なく、「言ってはいけないこと」と直感。誰にも伝えずにいた。

 「おまえ、本当はどうなの?」-。同性愛ネタでからかわれると笑って受け流した。嘘をついているような感覚に陥り、本当の自分と人格が離れてしまうように思えた。

 大学入学を機に家族や親しい友人にカミングアウト。周囲の反応は温かかった。松岡さんは「正直に接することができるようになって楽になりました。カミングアウトしてもしなくても、何のデメリットもない社会になれば」と願う。

                  

 ■「受け止めてもらえる」と安心できるように

 カミングアウトを受けたら、どうしたらよいのだろうか。

 LGBTの子供や若者支援に携わる遠藤まめたさんは、「カミングアウトは相手への信頼に基づく行為。打ち明けられた内容は許可なく他人に話さないこと」と強調する。「大切なのは、当事者が『カミングアウトをしたとしても、受け止めてもらえる』と思えるような環境を整えること」と遠藤さん。身近に「クローゼット」の人がいるかもしれないと意識し、LGBTについての心ないジョークや差別的発言をしないことが重要だ。