産経ニュース for mobile

地震保険の世帯加入率、3割にとどまる 生活再建への備え必要

記事詳細

地震保険の世帯加入率、3割にとどまる 生活再建への備え必要

更新
熊本地震で倒壊した家屋。熊本県など九州で地震保険新規契約が伸びた=平成28年4月、熊本県益城町 1/2枚

 きょう1日は防災の日。大きな地震で住居などが被害を受けると、そこで生活していた人の生活を直撃する。だが、地震保険の世帯加入率は今も約3割にとどまっている。食料や水などを備えるのと同様に、被災者の当面の生活を支える地震保険を経済的な支えとして検討したい。加入のポイントを専門家に聞いた。(牛田久美)

<< 下に続く >>

 家財にもかける

 「地震保険金は使い道が自由。住居の建て直し、住宅ローン返済、子供の養育など必要な用途に充当できる」

 保険会社26社による「日本損害保険協会」広報室の奥英昭課長(47)は地震保険の長所をこう語り、建物だけでなく、家財についても加入することを勧める。

 理由は、生活再建にあたり資金面の不安を軽減できるから。建物、家財の保険金とも、さまざまな用途に充当できるという。

 東日本大震災で2千万円相当の建物が全損した宮城県内の例では、建物の地震保険金1千万円▽被災者生活再建支援法の支援金300万円▽義援金約100万円で、受取額は合計およそ1400万円だった。

 不足した600万円は、家財の地震保険で500万円を受け取り、「必ずしも元通りの家を再建できなくても、かなりの部分をまかなえた」と奥課長は説明する。

 国と共同運営

 地震保険は、明治以降、たびたび創設が議論されたが、実現しなかった。

 被害規模が大きく特異とされたためだが、昭和39年、新潟地震(マグニチュード7・5)で被害が9県におよび、41年に法律を制定。国と損害保険会社が共同運営することで、一日も早い生活再建を目指すことになった。

 現在、総支払限度額は、官民合わせて11兆3千億円。東日本大震災では約1兆2千億円が支払われ、「その約10倍の規模に備えている」(奥課長)。熊本地震では約3700億円、阪神大震災では783億円の支払い実績がある。

 しかし、損害保険料率算出機構によると、28年度の世帯加入率は30・5%にとどまっている。内閣府は5月、災害による住宅被害のリスクと補償の必要性を情報発信する方針を決めた。

 二重ローンを

 住宅被害のリスクの中でも、深刻なのは、住宅ローンを返済中の場合だ。「地震前のローンと、建て直す際のローンの二重ローンに発展する可能性があり、被災者の死活問題になる」(奥課長)

 また、マンションでは、共用部分についても確認したい。階段やエレベーター、玄関ホール、外壁などは一般的に管理組合が保険に加入するが、共用部分の加入率は37%(26年度、損害保険会社4社調べ)。住民は専有部分のみに加入し、共用部分は修繕積立金で直せない事例が多く出ている。

 保険料の料率は、損害保険料率算出機構が中立的な立場で都道府県別に算出し、どの保険代理店で加入しても同じ。火災保険とセットで入り、保険期間の途中からでも付帯できる。

 奥課長は「地震、噴火、津波の被害は、火災保険では補償されない。防災の日を機に、生活再建の経済的な道筋を検討してほしい」と呼びかけている。

写真ギャラリー