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【食革命 人工肉の行方】(上)人工肉は食料危機を救えるか? 世界の需要まかなえない…30年後は本物と半々になる!

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(上)人工肉は食料危機を救えるか? 世界の需要まかなえない…30年後は本物と半々になる!

食革命 人工肉の行方更新

 商品名は「インポッシブル(ありえない)バーガー」(14ドル=約1600円)。赤い肉汁がしたたるミディアムレアのバーガーで、メニューにはレタスやトマト、タマネギ、ピクルス、特製ソースなどが添えられているとの説明がある。ただ、肝心のパテについての記載はない。

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 バーガー本体の見た目やにおいは肉そのものだ。パテの表面は少し焦げ、かむと脂のうまみもある。歯応えも通常のハンバーガーと変わらない。“肉”くずれする感じがあった以外は食後の満腹感まで同じだ。

 「よく注文するよ。肉なのか、野菜なのかというより、おいしいハンバーガーだからね」。ウエストハリウッドのレストランがお気に入りというジョナサン・アーバーさん(38)は笑顔でそう語った。

 人工肉は、ベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(完全菜食主義者)だけでなく、肉を摂取し過ぎないよう気をつける健康志向の人たちにも受け入れられ始めている。食文化や栄養の取り方にも変化をもたらす可能性が高い。

 アーバーさんは「肉ではないことが分かっていて注文しても、肉と変わらないと思うのだから、知らずに食べても肉として通用するはず」と話す。こうした畜産業界の構造に変革をもたらす可能性のある新興企業はインポッシブル・フーズだけではない。

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 米食品ベンチャーのサベージ・リバー(カリフォルニア州)は、ハンバーガー用のパテ「ザ・ビヨンド・バーガー」を2枚5・99ドルで販売している。

 同社は、牛肉の分子構造を分析し、牛肉の食感に近いエンドウ豆のタンパク質や天然のアラビアガム、竹セルロース、ひまわり油など、100%植物由来の素材でひき肉の食感に近い人工肉を生み出した。肉の赤身らしさは、赤カブの色素を使って再現している。

 サベージはファストフード大手、米マクドナルドのドン・トンプソン前最高経営責任者(CEO)ら食品業界の第一人者を経営陣に招き、量産化に成功。昨年春から米高級スーパーのホールフーズ・マーケットで販売を始めており、同国内で売り場を拡大する勢いだ。

 サベージが米国販売を始めて間もない昨年、三井物産は「商社の機能を使って原料調達だけでなく、アジア全域での販売戦略で協力できる」と呼びかけた。両社の思惑は一致し、三井物産は昨年11月、サベージに一部出資、今年中に日本での販売を目指している。

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 専門家によると、穀物を飼料とする食肉は植物に比べ、タンパク質の生産効率が低い。同じ量のタンパク質を生産する場合、穀物に比べ牛肉は約10倍、豚肉でも4倍の飼料が必要となる。世界の人口増を見据えた場合、穀物を使った人工肉の生産は急務といえる。

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