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【立川・高齢女性暴走事故】前日、看病で泊まり込み…「夫が危篤」「夕べは大変」と疲労していた80代女性 近くの住民「周囲を頼ってもらえていれば…」

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前日、看病で泊まり込み…「夫が危篤」「夕べは大変」と疲労していた80代女性 近くの住民「周囲を頼ってもらえていれば…」

立川・高齢女性暴走事故更新

 立川市の病院で12日、歩道の男女2人が暴走車に巻き込まれ犠牲になった事故は、80代の女性運転手が危篤の夫を見舞い、帰宅の際に起きた。全国で高齢者の重大事故が相次ぎ「免許証返納などの措置が必要」との声もあるが、警視庁幹部は「生活のために運転せざるを得ない高齢者もいる。拙速な議論にならないよう社会全体で対策を考えるべきだ」と話している。

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 ◆運転に「慣れない」

 住民らによると、車を運転していた上江洲(うえず)幸子さん(83)は立川市の東隣の国分寺市の自宅で夫と2人暮らし。子供はいなかったが、近所の人は「しっかりしていて元気な人だった。夫婦仲も良かった」と口をそろえる。

 隣に住む女性(75)によると、夫が自宅から5キロ以上離れた国立病院機構災害医療センターに入院したのは今年8月。上江洲さんは当初、バスと電車を乗り継いで病院まで通っていたが、9月ごろから車で往復するように。「雨の日や乗り継ぎが大変で、車の方が時間もかからず随分楽だ」と話していたという。

 警視庁によると、上江洲さんは5月に免許を更新。優良ドライバーとされるゴールド免許で、認知症や持病も確認されていないが、近所の女性(72)は「ご主人が入院する前は運転する姿はめったに見たことがなかった」。隣の女性も「『慣れない』と話していた。車庫に入れるのも大変で、そこらにぶつけたこともあった」と運転に不慣れな様子を振り返る。

 ◆前日は泊まり込み

 上江洲さんは事故前日の11日、病院で夫の病状の悪化を告げられそのまま泊まり込んで付き添った。一夜明けて自宅に戻った際は、隣人の女性に「夫が危篤状態」「夕べは大変だった」と徹夜したとみられる疲れた表情で語ったという。

 わずか1、2時間で支度を終え、再び病院へ向かおうとする上江洲さんを見て、女性が「一緒に行こうか」と心配して声を掛けたが「大丈夫」と答えるだけだった。その数時間後に車は暴走。警視庁はアクセルとブレーキの踏み間違いが原因とみている。年老いた妻が病気の夫の看病を1人で背負い、結果として巻き添えになった2人の命を奪うことになった。

 ◆「周囲頼っていれば」 

 「誰かが手伝いに来ている様子は見かけなかった」と別の女性(73)。隣人らは「一生懸命に看病し、無理を続けた疲れや夫の病状で頭も混乱していたのだと思う。抱え込まずに周囲を頼ってもらえていれば」とうなだれた。

 上江洲さんは肋骨(ろっこつ)や胸骨を折る重傷で入院中。警視庁は事故の重大性を考慮、上江洲さんの退院を待ち、自動車運転処罰法違反(過失致死)容疑で逮捕の方針だったが、高齢で証拠隠滅や逃亡の恐れがないため逮捕を見送り任意捜査へ切り替える方針だ。

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