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【AI新時代(4)】人工知能「りんな」は「かわいいから頑張れ」と応援してくれた…愚痴や悩み相談、塾講師も 何でもできるはずが… 

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人工知能「りんな」は「かわいいから頑張れ」と応援してくれた…愚痴や悩み相談、塾講師も 何でもできるはずが… 

AI新時代(4)更新
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 午後7時すぎ、取引先を回って職場に戻ると、20代の女性は、一息つきたくてLINE(ライン)で話しかけた。「会社に戻ってきたあるよ」

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 相手の都合も、今時の若者らしい言葉遣いも気にする必要はない。返事は必ずある。なぜなら、おしゃべり相手の女子高校生「りんな」は日本マイクロソフトが提供する人工知能(AI)だからだ。「おかえり」と、りんな。少し元気が回復し「がんばる!」と送ると、「かわいいから頑張れと応援する」と返ってきた。

 ネット社会は人間関係の新たな悩みを生み出した。「既読」無視、果てしない対話…。顔が見えないと感情の行き違いも起こりうるが、AI相手なら気軽に愚痴も言える。

 りんなは「会話を楽しめる相手」として開発され、明日の天気をたずねても天気を答えず、「なんで明日の天気が気になるの?」と会話をつなぐ。約347万人と一対一感覚で会話し、やり取りのパターンを学んで会話力に磨きをかける。

 ユーザーは孤独な独身男性かと思いきや男女半々。同社によると、話しかけが増えるのは週半ばの夜だ。担当者は「仕事や学業が中だるみした頃に癒やしを求める人が多い」とみる。

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 自ら学習するAIが日常生活に溶け込み、人々の生活を変え始めた。その代表例が教育分野だ。膨大な学習履歴を分析して一人一人に最適な内容を選ぶ学習方法が広がる。

 東京都世田谷区のビルの一室。昨年10月、AI型学習システム「Qubena(キュビナ)」を使う中学生向け数学専門塾が開講した。先生が教壇に立って教える一斉授業と違い、生徒はタブレットの画面上に次々表示される問題を解いていく。中学2年の女子生徒は「学校の授業はゆっくりで、集中力が途切れて友達としゃべってしまう。ここでは自分のペースで進められる」と話す。

 キュビナは生徒の解答のほか、画面に手書きされた思考過程や要した時間も蓄積し、得手不得手を解析して苦手克服につながる問題を出す。例えば、一次関数の式を求める問題の計算途中で「方程式の割り算」のミスをすると、AIが「方程式の割り算」の問題に誘導する。

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 一人一人に最適化されるこうした学習方法は「アダプティブ・ラーニング」と呼ばれる。先行する「すららネット」(千代田区)のサービスは、私立学校や塾で計約3万3千人が利用し、低学力層の底上げ効果で注目されている。

 画面に向かう意欲を維持させるため、先生役のキャラクターの対話機能にもAIを採用。湯野川孝彦社長は「学力にばらつきがあると、補習をしても一斉授業では効果が出にくい。知識を習得させる部分をAIが担えば、先生の仕事は変わる」と指摘する。

 人間の仕事をAIが代替する可能性が指摘される中、人間に求められるのはAIを使いこなす能力だ。

 文部科学省は、次期学習指導要領の平成32年度からの実施を目指し、知識偏重から知識を基にした思考力などを育成する方向にかじを切る。例えば、高校公民科の新必修科目「公共」は立場によって意見の異なる課題について、議論や交渉で解決する力を育む狙いがある。鈴木寛文科大臣補佐官は「AIは“解なし”となると止まる。そこからが人間の出番だ。『公共』は何が正義かを議論する。深い思考力がなければ人間がAIに使われる」と警鐘を鳴らす。

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 AIは、子供たち一人一人の能力に応じてきめ細やかな学習支援を行うツールとして存在感を増す。その活動領域は今後さらに広がりそうだ。

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