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ソーセージ毎日3本、本当に大丈夫か 「加工肉に発がん性」困惑も…業界は打撃

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ソーセージ毎日3本、本当に大丈夫か 「加工肉に発がん性」困惑も…業界は打撃

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 世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)がソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉について、発がん性があるとの調査結果を発表したことが波紋を広げている。一部で加工肉の買い控えも起き、食肉業界などが一斉に反発。問い合わせが殺到したWHOは「一切食べないよう求めてはいない」と弁明に追われた。一連の騒動をどう受け止めればいいのか。(夕刊フジ

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 この調査報告は10月26日にがんに関する専門医学誌「ランセット・オンコロジー」の電子版に掲載された。

 報告は、毎日50グラムの加工肉(ソーセージなら3本、ハムなら5枚、薄切りのベーコンなら3枚程度)を食べると、大腸がんのリスクが18%増加すると指摘。加工肉を食べることによる発がん性のリスク評価は5段階で最も高いレベルとし、消費者に食べ過ぎないよう警告した。

 だが、この発表には国内外の食肉業界などから批判、反論が噴出した。

 海外メディアなどによると、北米食肉協会は「最初から特定の結果を導き出すため、データを歪曲(わいきょく)した」と批判。ドイツ農相は加工肉のリスク評価が喫煙やアスベスト(石綿)と同グループに分類されたことに「無用の心配を与える」とし、「食べることを怖がることはない」とコメントした。

 国内では、日本ハムの末沢寿一社長が決算会見で「基本的に日本人の摂取量では問題ない」との見方を表明。日本の研究機関などの調査を引き合いに安全性を強調し「お肉は体に良いということを訴えていく」とした。

 ただ、業界への打撃は出始めており、丸大食品の百済(くだら)徳男社長は10日、WHOが調査結果を発表した直後の数日間、ウインナーの販売が2割ほど落ちたと明らかにし、「想像以上のダメージを受けた」と、お歳暮商戦への影響も危ぶんでいる。

 反発を受け、WHOは火消しに追われる。10月29日には「(今回の調査報告は)加工肉の消費を減らせば大腸がんになるリスクが減るということで、加工肉を一切食べないよう求めてはいない」との声明を発表。過度な不安を抱かないよう消費者に呼びかけた。

 振り回される形になったのが消費者だ。ネット上には「これから何を食べればいいんだ」など、悲嘆に暮れる書き込みが次々と登場。韓国ではスーパーの加工肉売り上げが約2割も落ち込んだという。

 では、実際に加工肉は安全なのか。

 この問いの一つの「指針」となりそうなのが、国立がん研究センターが2011年に公表した調査結果だ。

 同センターは国内45~74歳の男女約8万人を対象に実施した赤肉・加工肉の摂取と大腸がんのリスク調査で、「日本人の平均的な摂取の範囲であれば影響はないか、あっても小さい」との見解を示している。

 山野医療専門学校副校長で医学博士の中原英臣氏も今回の騒動は数字のトリックで、過剰反応は「不要」と分析する。

 注目するのはタンパク質を肉だけでなく魚や豆腐などからも取っている日本人の食生活。中原氏は「一般的な日本人の1日の加工肉摂取量はWHOが、発がん性が高まるとした50グラムには遠く及ばない」としており、「大腸がんのリスクはほとんど心配する必要はないといっていいだろう」と話している。