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プールでの日焼け止め禁止に疑問 水質汚染に影響なし、肌守る効果優先を

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プールでの日焼け止め禁止に疑問 水質汚染に影響なし、肌守る効果優先を

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 学校のプールや自治体が運営する屋外プールで、日焼け止めの使用を禁止しているところがある。「水の汚染」が主な理由だが、紫外線は皮膚がんの最大のリスク。日本臨床皮膚科医会は「健康な肌を保つために使用を認めるべきだ」と訴えている。(平沢裕子)

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禁止は14%

 「娘が通う公立中学は日焼け止めもラッシュガード(紫外線防御などを目的にした肌を覆う衣類)も禁止。プールのたびに肌が真っ赤になってかわいそう」。学校で水泳の授業が始まった7月、プールで日焼け止めが禁止されていることに複数の保護者がネット上で疑問を投げかけた。

 日本小児皮膚科学会などが平成18年、全国の小学校を対象に実施したアンケートでは、回答した1147校中、水泳の授業で日焼け止めの使用を禁止していたのは14%。明確に決めていない学校が53%に上った。禁止の学校に理由を聞いたところ、9割が「プールの水の汚染」を挙げた。

 学校だけではない。東京都杉並区は屋外プールの利用者に対し、日焼け止めを塗った場合はプールへの入水を禁止している。同区スポーツ振興課は「水質が汚染されるから」と説明する。

 国はプールの水質基準を設定しており、水素イオン濃度や濁度(濁り具合)、残留塩素濃度などの基準を満たす必要がある。日本プールアメニティ協会(東京都豊島区)の高橋宏志事務局長は「基準値は水道水の衛生基準を参考にして飲んでも大丈夫かを目安に決められている」と説明する。

医師側が許可要求

 日焼け止めを塗ってプールに入ると、基準を逸脱するほど水が汚れるものだろうか。日本化粧品工業連合会(港区)によると、日焼け止めは基本的には油性の商品で、水に接しても溶け出しにくいものという。

 皮膚科医らが19年、秋田県の小学校で児童60人中半数の30人に日焼け止めを体全体に塗布して約2カ月、体育の授業でプールを利用した後、水質を調べたところ、日焼け止めによる汚染は認められなかった。

 こうした結果を受け日本臨床皮膚科医会は23年、「学校生活における紫外線対策に関する具体的指針」をまとめ、プールの授業で必要なときには使用を許可するよう求めた。しかし、同医会学校保健委員会の島田辰彦委員長は「今も日焼け止めを禁止している学校は少なくない。禁止するなら汚染の根拠を示してほしい」と訴える。

 プールの水質基準を設定する厚生労働省と文部科学省は日焼け止めの使用を禁止していない。ただ、学校保健を支援する日本学校保健会(同区)が発行するマニュアル「学校における水泳プールの保健衛生管理」に「(日焼け止めを)無条件に全員が使用することを容認すると、プール水の汚れの要因になります」との記述がある。島田委員長は「この見解が影響している可能性もある」とみる。同会はこの記述を残すかどうかも含め、マニュアルの見直し作業を進めている。

 島田委員長は「生涯にわたり健康な肌を保つために、過剰な紫外線に当たらないような生活習慣を子供のときから身に付けさせることが必要。日焼け止めの使用は、日光ですぐに赤くなる肌の弱い人はもちろん、使いたい人には認めるべきだ」と話している。

■紫外線対策、子供のうちから

 紫外線はシミやシワといった肌の老化の原因となるだけでなく、皮膚がんの発症率を高める。WHO(世界保健機関)は皮膚がん予防のため「子供のうちから紫外線対策をすべきだ」と提言している。

 日本臨床皮膚科医会は子供に適した日焼け止めとして、SPF(紫外線B波を防ぐ効果を表す指標。数値が大きいほど効果が高い)15以上▽PA(紫外線A波を防ぐ効果を表す指標。「+」の数が多いほど効果が高く、4段階で示される)++~+++▽無香料・無着色▽プールでは耐水性やウオータープルーフ(水や汗に落ちにくい)の表示のあるもの-を推奨している。