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東京駅開業100年限定版Suicaデザインは女性車掌 高校で日本画、異色の経歴 制作3カ月、細部まで描き込み

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東京駅開業100年限定版Suicaデザインは女性車掌 高校で日本画、異色の経歴 制作3カ月、細部まで描き込み

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鈴木さんがデザインした東京駅100周年記念スイカのデザイン (JR東日本提供) 20日で開業100周年を迎えたJR東京駅(東京都千代田区)。関連記念行事がめじろ押しだが、とりわけ鉄道愛好家らの間で話題になっているのが丸の内駅舎をあしらった限定版のICカード乗車券「Suica(スイカ)」の発売だ。デザインを担当したのは同社東京支社の車掌、鈴木裕理子さん(27)。都内の芸術系高校で日本画を学んだという経歴の持ち主で、節目の年に自らのデザインが記念スイカを飾り「こんな光栄なことはない」と話している。

 記念スイカは、20日午前8時から同駅丸の内南口で、1万5千枚限定で発売する。1枚2千円(デポジットの500円を含む)で、購入は1人3枚まで。JR東日本が9月に記念スイカのデザインを公表すると、ネット上では「絶対入手したい」「きれいなデザインに一目ぼれ」といった書き込みが相次ぎ、話題になった。

 「発売前から注目され、信じられない」。デザインを手がけた鈴木さんは、反響の大きさに手応えを感じている。

 鈴木さんは都内の芸術系高校を卒業後、大学でも美術の道を目指したが夢はかなわなかった。その後カフェでのアルバイトや専門学校で簿記を学ぶなどして平成23年にJR東日本に入社。東京駅勤務時代の24年に丸の内駅舎が開業当時の姿に復元され、記念ポストカードのデザインも任された。社内で絵のうまさが評判となった鈴木さんに舞い込んできたのが、記念スイカのデザインの元になった開業100周年ポスターのデザイン依頼だった。

 “デザイナー魂”を刺激された鈴木さんは、自らカメラを手に駅舎の写真をとり、東京駅の複数のパンフレットも収集。改札業務中に見上げた駅舎ドームの天井の美しさも目に焼き付け、勤務後や休日の大半をデザイン作成にささげた。デッサン漬けだった学生時代に戻ったように絵筆を手に取り組み、3カ月後にできあがった作品は、駅舎の窓などが細部まで描き込まれ、温かみのある雰囲気を醸し出していた。

 「東京駅は年配の方の利用が多く、上品な色合いになるように気を使った」。出来栄えについても「これまでの中で一番のお気に入り」と話す。

 今年8月から綾瀬運輸区に異動し、現在はJR常磐線の車掌を務めている。緊張続きの毎日だが、休日に絵筆を握ると落ち着くという。「どんなデザインでも描きたい。苦にならないので…」。鈴木さんの創作意欲が尽きることはない。(花房壮)

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