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【東北特派員報告】みちのくの「稲魂」 一粒の米の中には七人の神様がいる

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【東北特派員報告】みちのくの「稲魂」 一粒の米の中には七人の神様がいる

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 現在確認できる最古の稲作は約8000年前、中国の長江流域に遡(さかのぼ)るという。では稲作の起源がこの地方に帰するかというと、そう単純ではなく、まだ遺跡の発掘が進んでいないインド北東部のアッサム地方はその候補の一つとされる。

 その稲作がいつ、だれによって、どんなルートで日本にもたらされたかについても、いくつかの有力な説がある。ただ、一つ言えることは、日本人にとって稲作、そしてその結果として得られる米は、稲魂(稲の穀霊)という言葉に代表される、高い精神性をもっていたことだ。

 『日本書紀』の神代巻によると、天照大神(あまてらすおおみかみ)は粟(あわ)・稗(ひえ)・麦・豆を畑作の穀物、米を水田作の穀物とし、天上に水田をつくらせた。このため、米は専ら神様の食物だったが、後に天孫によって伝えられ、地上でも栽培されるようになった。

 「古代米」として、また健康食として注目されている赤米や紫黒米(有色素米)。『赤米の博物誌』(大学教育出版)によると、江戸時代、インディカ型長粒種の赤米は「大唐米(たいとうまい)」と呼ばれ、下級米として食されたほか、餅や麺、菓子類、漢方薬の材料となった。一方、「大唐米とは反対に、ジャポニカ型の赤米の一部が神聖視され、神社の神田などで連綿と栽培されてきた」。

 こうした歴史と「神性」をともすれば忘れがちな現代人に伝えるのが国民的スポーツ漫画『ドカベン』である。作者の水島新司氏が米どころ・新潟の出身ゆえであろう、その第1巻で、主人公の山田太郎は訴える。

 「ぼくのおじいさんが言ってんのさ。一粒の米の中には七人の神様がいるって。だから一粒でものこしたらバチがあたる」

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