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民放+NHK「TVer」中途半端? 配信に「温度差」 黒船に対抗できるか

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TVerの画面。ランキング上位には民放の人気ドラマなどが並ぶ
TVerの画面。ランキング上位には民放の人気ドラマなどが並ぶ

 在京民放5社が運営する動画配信サイト「TVer(ティーバー)」で、NHKの番組の配信が始まった。民放とNHKの番組が1カ所に集まるプラットフォームの誕生だが、人気ドラマを提供する民放と、「朝ドラ」や「大河」などの看板番組を配信しないNHKとの間には「温度差」も垣間見える。海外発の動画配信サービスが存在感を高める中、日本のテレビ界の生き残りをかけた対応が続く。

 ◆テレビ回帰担う

 TVerは、平成27年10月にスタートした無料動画配信サイトで、在京民放5社などの番組を放送終了後、広告付きで約1週間見ることができる。

 発足当初は、動画配信サイトへのテレビ番組の違法投稿対策や、見逃し番組を配信することで「テレビ離れ」に歯止めを掛けることを主な目的にしていた。

 だが近年、海外の動画配信事業者が急速に存在感を高め、テレビ局の強力なライバルとなりつつあることで、民放各局の連合であるTVerに期待される役割にも変化が訪れている。

 米のネットフリックス(ネトフリ)とアマゾンは27年、日本で定額見放題のサービスを開始。今年の米アカデミー賞で、ネトフリのオリジナル作品「ROMA/ローマ」が監督賞、撮影賞、外国語映画賞の3部門で受賞。配信作品の質の高さを示した。

 ネトフリに加え、アマゾンのサービス「プライム・ビデオ」も日本オリジナルの作品を製作・配信している。日本での知名度が急速に上がっている両サービスに加え、今秋にはアップルのサービス開始も予定されている。

 強力な「黒船」の登場に、民放各局は危機感を募らせる。TVerは当初の目的に加え、本来はライバルである各局が手を組み、視聴者を“テレビ側”に回帰させることが重要な役割となった。

 そのためには、TVerで見られる番組をさらに充実させ、視聴者に魅力と利便性をアピールする必要があった。日本民間放送連盟の大久保好男会長は昨年9月の会見で「TVerが発展・成長していく中で、民放だけでなくNHKのコンテンツも見ることができるようにと期待されてきたと思う。私もそう考えている」と語っていた。

 ◆番組の質が左右

 だが、主にCM収入で成り立つ民放と、受信料に支えられているNHKとでは、TVerに対する態度に「温度差」がある。

 民放各局にとってTVerの充実は生き残りのため必須の課題だが、NHKにとっては、悲願であるテレビ番組のインターネット常時同時配信を始めるためのハードルという位置づけだ。総務省の有識者検討会が昨年、常時同時配信を認める条件として民放との連携を求め、その連携の一つとしてNHKがTVerに参加する調整に入った経緯がある。民放関係者は、「NHKはもともと有料でも無料でも『NHKオンデマンド』で動画配信しており、TVerに参加する積極的な理由は見当たらない」と語る。

 立教大の服部孝章名誉教授(メディア法)は「NHKに好んで参加したという態度は見えず、TVerは中途半端なプラットフォームになっていると思う。プラットフォームの質は、配信されている番組やコンテンツに左右される。日本のテレビ界に配信能力はあるが、番組制作能力は落ちている。海外の動画配信サービスでキラーコンテンツとなる番組が出てくれば、今後一層厳しくなるのではないか」と指摘した。(森本昌彦)

 ■40代「TVよりネット」

 総務省の統計では、10~30代に加え、最近は40代でもネットの利用率がテレビよりも高くなり、「テレビ離れ」が中年層まで広がっていることが推定される。この傾向は広告面にも波及。電通が今年2月に発表した「平成30年日本の広告費」によると、インターネット広告は1兆7589億円と、地上波のテレビ広告(1兆7848億円)に迫っている。

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