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予想外の驚き求めて NHK「ドキュメント72時間」、テレ東「家ついて行ってイイですか」の舞台裏

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「ドキュメント72時間」。30日に放送予定の次回の舞台は、沖縄県にある自動車学校だ(NHK提供)
「ドキュメント72時間」。30日に放送予定の次回の舞台は、沖縄県にある自動車学校だ(NHK提供)
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 事実を装った「やらせ」はもちろん、「過剰な演出」にも反感を抱く視聴者が多い中、成り行き任せの進行による予想外の結末や感動、驚きに人気が集まっている。NHKのドキュメンタリー「ドキュメント72時間」(金曜夜10時50分)、テレビ東京のバラエティー「家、ついて行ってイイですか?」(水曜夜9時)はそんな番組の代表格だ。共通しているのは「リアルな日常を撮りたい」という強い思い。舞台裏をうかがった。(三宅令)

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 3日間連続でカメラを回し、市井の人々の生活を定点観測するNHKのドキュメンタリー「ドキュメント72時間」。チーフ・プロデューサーの植松秀樹氏は「普通の人の『今』という時代を、ありのまま切り取りたい」と話す。

 「撮影を始めたら何があっても72時間止まらず、絶対に放送する」がモットー。事前の仕込みや撮り直しがないため、ハプニングもある。富山湾でホタルイカを取材した際には、予定した光り輝くイカの群れは3日間現れず。最終的にイカは近場のほたるいかミュージアムで撮った。「その翌週に群れが来たらしい」

 最も気を使うのは観測場所の選定だ。「作り手の作為が見えない場所がいい」。例えばコインランドリーを取材した回では、制作会議で候補に上がっていた宮城県石巻市、東京都葛飾区柴又など「いかにもドラマが見込めそうな場所」を差し置いて、神奈川県茅ケ崎市の大型コインランドリーという変哲のない場所が選ばれた。

 「石巻市なら復興、柴又なら人情というように、先入観や色、『テーマ』がついてしまう」といい、「制作側の下心、作為が見えるのは避けたい」と話す。「伝えたいテーマ」ありきの一般的な制作手法からは離れているが、番組は根強い支持を得ている。視聴者から企画募集をしたところ、年間5000通もの候補案が集まったほどだ。「今『テレビがうるさい』とよく言われる。嫌がられているのは、制作側の上から目線の押しつけなのだろう」と分析する。

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 通行人に声をかけて帰宅に同行し、住居でインタビューを敢行するテレビ東京の「家、ついて行ってイイですか?」。番組プロデューサーの高橋弘樹氏は「単なるバラエティーとして消費されるものでなく、民俗学的な記録映像として、人々のリアルな日常を残したい」と話す。

 極力、演出を排除した番組作りは、現場での“撮れ高”も内容も予測不能。2人組のインタビュースタッフが、毎月延べ500組も出動する。終電後の深夜などに関東近郊の街頭をうろつき、道行く人に声を掛けている。

 「番組の知名度が上がると取材が楽になることもありますが、この番組は逆だった」と笑う。赤裸々な内容が認知されるにつれ、根掘り葉掘り聞かれることもバレて、「応援してまーす」とは言いつつ、断る人も増えたという。

 また、せっかく同行の許可を得ても、放送できる内容になるかは最後まで取材しないと分からない。「冷凍庫を開けたらネコの死体が出てきたところも…」と、やはり厳しい家もある。だが、「いつかは放送したい。みんな一生懸命に生きている。どんな生き方でも肯定すべきだ」。

 最近では、日本テレビの人気バラエティー「世界の果てまでイッテQ!」の企画が、放送倫理・番組向上機構(BPO)から「放送倫理違反があったと言わざるを得ない」と指摘されている。バラエティーであっても行き過ぎた演出に反感を持つ視聴者は多い。

 高橋氏は、「演出に頼らない“ガチ”という縛りのなかで、どこまで面白いコンテンツを作ることができるのか問われている。事前リサーチをすれば良いものが撮れるのは当たり前。ただそれじゃ、視聴者も自分たちもつまらない」と話す。

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