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【ZOOM】「テレビ報道と放送法」公開討論会 認識に溝、平行線たどる議論

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「テレビ報道と放送法」公開討論会 認識に溝、平行線たどる議論

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 テレビ報道のあり方をめぐる議論が活発化する中、「テレビ報道と放送法」と題した公開討論会が16日、東京都内で開かれた。メディア研究者3人と、一部報道の偏りを指摘している放送法遵守(じゅんしゅ)を求める視聴者の会の3人が、異なる立場から意見を交換。ただ、議論はおおむね平行線をたどり、放送の役割に対する認識の溝が浮き彫りになった。(放送取材班)

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 出席したのは、視聴者の会から米カリフォルニア州弁護士でタレントのケント・ギルバート氏、経済評論家の上念司氏、文芸評論家の小川榮太郎氏。一方、研究者有志として、東京大名誉教授の醍醐(だいご)聡氏、立教大教授でメディア総合研究所所長の砂川浩慶氏、雑誌「放送レポート」編集長の岩崎貞明氏が参加した。

バランスは妥当か

 小川氏は冒頭、視聴者の会が昨年、テレビ各局が安保報道で伝えた見解を「賛成」「反対」に分類した調査結果を紹介。いずれの局も法案への反対意見を伝えた時間が賛成意見を大きく上回っていたとして、「日本のテレビ報道の現状が政治プロパガンダになっている」と指摘。「中には賛否バランスが1対9だった局もある」と問題提起した。

 これに対し、醍醐氏は「賛否の振り分けをどんな基準で行ったのか」と疑問視し、「法案の疑問点や不明点を考える材料を提供するのが熟議を促すメディアの使命だ」と指摘。また、岩崎氏は「疑問や論点を多くの角度から紹介すれば当然、否定的意見の放送が長くなる。賛否での色分けが国民の知る権利につながるのか」と疑問を呈した。

 上念氏は「安保報道では本来議論すべき安全保障の論点ではなく、反対デモの盛り上がりなどに力点を置いた報道が多かった」とした上で、「VTR後にキャスターらが反対意見ばかり述べることなどを問題視している」と反論。小川氏は賛否バランスの集計結果を公開しているとして、「作為的かどうか検証してほしい」と述べた。

番審に苦言も

 議論は放送局の「電波停止」をめぐる高市早苗総務相の発言で注目を集めた放送法のあり方にも及んだ。

 岩崎氏は、放送法と同時に整備された放送を監督する独立行政機関「電波監理委員会」が昭和27年に廃止されたことが、放送法をめぐる混乱をもたらしていると指摘。「政府から一定の距離を保った独立機関を設けておくことが先進諸国の常識だ」と述べた。