産経ニュース for mobile

【鑑賞眼】「NHKバレエの饗宴2016」 個性と技術で魅了する特別公演

記事詳細

「NHKバレエの饗宴2016」 個性と技術で魅了する特別公演

鑑賞眼更新

 NHKバレエの饗宴は、日本のバレエ団の活動と、国外の日本人ダンサーの活躍を紹介する年に1度の特別公演。第5回の今年は、在京3団体と海外名門バレエ団で踊る3人に、ウィーン国立バレエ団のマニュエル・ルグリ芸術監督が監修した10代の男女8人が踊る2演目を加えた。

<< 下に続く >>

 スターダンサーズ・バレエ団はチューダー振り付け「リラの園」(1936年)、小林紀子バレエ・シアターはアシュトン振り付け「レ・ランデヴー」(33年)と、共に英巨匠による同時代の作品だ。

 前者は意にそわぬ結婚を決めた男女が、婚約パーティーの夜にそれぞれの元恋人と織り成す心理劇を視線や身体の隅々も操るダンスで熱演。後者は明るい男女の戯れを描き、美しいステップの連鎖や編成の変化を次々と決め、華やかで心地良い。

 谷桃子バレエ団は意欲的な新作「オセロー」(日原永美子振り付け)を上演。哀切なシュニトケの曲を用い、美術や衣装、ダンサーの個性を見事に総合し、現代的な感覚でシェークスピアの悲劇を濃密な舞踊にした佳作だ。各団が独自の個性と技術、表現力を見せ、興味深い。

 海外組は、ウィーン国立バレエ団の橋本清香と木本全優(まさゆ)が、対称と非対称の造形美の連続に男女の機微を巧みに交錯させる現代作品、マランダン振り付け「モーツァルト・ア・ドゥ」を披露。英バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の平田桃子は古典の名作「くるみ割り人形」を踊り、確かな技術で、甘く神秘的な煌(きら)めきに満ちた世界を立ち上げた。4月10日、東京・渋谷のNHKホール。(舞踊評論家 岡見さえ)