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【2020東京五輪 文化の祭典】歌舞伎、世界へ発信

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歌舞伎、世界へ発信

2020東京五輪 文化の祭典更新

 ■初の外国人向け教室 観光客取り込め

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 2020年東京五輪・パラリンピック。文化の祭典でもある五輪は世界に日本文化を発信できる絶好の機会だ。「KABUKI」は400年の歴史を誇る日本固有の伝統文化として国際的知名度も高い。2020年を見据えた歌舞伎界の動きを追った。(飯塚友子)

                  

 ◆多言語化へ対応

 「I will teach you how to enjoy KABUKI play!(歌舞伎の楽しみ方をお伝えしましょう!)」

 6月19日夜、国立劇場(東京都千代田区)初の「外国人のための歌舞伎鑑賞教室」が行われ、英国への留学経験のある歌舞伎俳優、坂東亀寿(かめとし)(36)が英語で呼び掛けた。タレント、春香クリスティーン(23)の質問に答える形で、2人が歌舞伎独特の効果音や女形の化粧法などを解説。国立劇場が主に学生対象に行う「歌舞伎鑑賞教室」を外国人向けにアレンジする形で進められた。

 続いて、片岡孝太郎(47)主演で「壺坂霊験記」を上演。日英中韓4カ国語で書かれた粗筋を配布し、同時解説(イヤホンガイド)も無料で提供した。歌舞伎を初めて見た青山学院大の張玉涵さん(19)=中国国籍=は「言葉は分からなかったが、主人公の表現が伝わった。音楽も素晴らしい」と笑顔を見せた。

 約1500の客席は満席で、アンケート回答のあった外国人(延べ49カ国、471人)の、満足度は91・3%に上った。同劇場の大和田文雄理事は来年のリオ五輪後に始まる東京五輪文化プログラムを念頭に、「2020年、何ができるか。国立劇場は伝統芸能全般を扱える。今後も文楽なども含め、外国人向けの公演を企画し、多言語化への対応やノウハウを蓄積したい」。

 ◆新たなエンタメ

 14日から、松竹が米ラスベガスの現地リゾートと組む形で、新たな歌舞伎ショーが行われる。観光スポットとして知られるベラージオの噴水前に特設ステージを設置。市川染五郎(42)主演で、「鯉(こい)つかみ」をテーマに水や映像も組み合わせたスペクタクルショーを3日間で5公演行う。松竹では約3万人の動員を見込む。見据えるのは、来年5月に現地で計画が進む歌舞伎公演だ。

 7月、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見した染五郎は「海外の場所を生かした歌舞伎を創作することに意義がある。日本人の底力を見せつけたい」。松竹の迫本淳一社長も「日本が世界に誇る歌舞伎の継承と発展に努め、増加するインバウンド(訪日観光客)に対応し、新たなエンターテインメント開発に着手したい」と語った。

 松竹は今年3月、成田空港内に歌舞伎の魅力を伝える体験型施設「Kabuki Gate」をオープンさせたほか、大手衣料メーカー「ユニクロ」と連携し、歌舞伎をテーマとした衣類の販売を海外でも開始。さらに英語字幕を付けた「シネマ歌舞伎」の海外上映も増やす予定だ。

 今は、新開場3年目を迎えた歌舞伎座(東京都中央区)人気が続いている。しかし、こうした海外発信の背景にあるのは、人口減少で縮小を免れない国内市場への危機感。「外国のお客さまに歌舞伎を楽しんでいただきたい」(迫本社長)という言葉の裏には、2020年をステップに五輪後も訪日観光客を取り込み、「日本の歌舞伎」をさらに「世界のKABUKI」にしたいという悲願がある。その準備が進んでいるといえそうだ。

                  

 ■前回五輪ではナイト・カブキ

 昭和39年の東京五輪開催期間中も外国人向けに歌舞伎公演が行われた。

 歌舞伎座は10月8~16日の本興行後、夜間興行「ナイト・カブキ」を開催。歌舞伎と文楽を連続上演し、赤坂芸者らの華やかな踊りをショー的に見せた。東京宝塚劇場(東京都千代田区)も10月5~25日、長谷川一夫主演で「東宝歌舞伎おどり」を上演した。

 当時の新聞には「ナイト・カブキだけで招待客も入れ、計1万5000人くらいは外国人客に見てもらえそう」との歌舞伎座副支配人の言葉が掲載されており、外国人にも好評だったようだ。

                  

 「2020東京五輪 文化の祭典」は随時、掲載します。