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アパレル「在庫ビジネス」大活況 個人で月商100万円も 背景には「作りすぎ」

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アパレル在庫の買い取りを手掛けるShoichiの倉庫=大阪市西成区
アパレル在庫の買い取りを手掛けるShoichiの倉庫=大阪市西成区
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 アパレル産業の不振が深刻化する中、売れ残りの在庫を買い取って安値で販売するビジネスが活況を呈している。在庫販売を個人に任せるサイトも利用が急増。在宅の副業でスタートし、月100万円を売り上げる人もいる。業界では在庫を増やさないよう生産を絞り込む動きもあるというが、構造的にゼロにするのは難しいことが在庫ビジネス拡大の背景にある。(粂博之)

現金化急ぐ

 「買い取り数は例年の2~3倍のペース」とアパレル在庫を扱うShoichi(大阪市)の山本昌一社長は話す。「新型コロナウイルスの感染拡大後に買い取り依頼が急増した」

 今年に入ってレナウンが経営破綻したほか、ワールドやオンワードホールディングスが、希望退職募集や店舗閉鎖といったリストラに追い込まれるなど、アパレル業界は厳冬期にある。

 業界各社は、例年のような規模でセールができず、在庫は膨張。その結果、倉庫の賃料が15~20%上がっているといい、「各社とも在庫の現金化を急ぐようになった」(山本社長)。

 Shoichiは、メーカー側の要望に応じて商品のブランドを示すタグを外して大幅に値下げするなどして、月当たり100万枚程度さばいていく。売り場は、自社で国内外に展開する小売店や、地方百貨店で増えているテナント撤退後の空きスペースでの催事などさまざまだ。

きっかけはバーバリー

 アパレル業界では、販売する時期・季節から逆算して商品企画を始め、予想に基づいて製造枚数を決めるのが一般的だ。縫製業者から「発注を増やしてくれれば値下げする」と提案された場合、「頑張れば売れる」と見込んで増やす傾向があるという。

 アパレルメーカーは、そうして在庫を積んでから販売に臨む。売れ残りの処分方法は主に、値下げして売り切る▽処分業者に安く買い取ってもらう▽廃棄▽リサイクル-があるが、廃棄処分を選ぶことは少なくなかったされる。値下げはブランド価値を損ない、リサイクルは手間と費用がかかるためだ。

 しかし2018年、英高級ブランドのバーバリーが42億円相当の売れ残り商品を焼却処分していたことが発覚。消費者の環境意識が高まる中、同社は厳しい批判を浴び、廃棄処分がブランド価値を損ねることが明らかになった。

 これを機に他のブランドも、廃棄処分から専門業者への売却などに「こっそり」シフトしたとみられている。Shoichiへの在庫買い取り依頼が増えだしたのもこの時期という。

在宅ビジネスに

 約1000社のアパレルメーカーなどが卸元として登録している在庫商品の取引サイト「スマセル」も利用が急増している。商品を仕入れて販売する会員は今年春から4倍以上増えて約3万人に達した。サイトでの取り扱い金額は今年に入って6倍増という。

 運営するウィファブリック(大阪市)によると、販売側の会員の約8割が個人。フリマアプリや、ネット配信で実演販売のように商品紹介するライブコマースなどを活用している。「在宅勤務で時間に余裕ができたため、副業として在庫販売を始める人が増えている」という。

 トレンド発信などで一定のファンを持つ「インフルエンサー」と呼ばれる人になると月商100万円を超える。「事業者として独立する人もいる」そうだ。

 今年夏以降、アパレル業界では商品を絞り込み縫製業者への発注を減らす動きがあるという。ただ、「構造上、在庫も売れ残りもゼロにできない」とされ、在庫販売ビジネスは当面、重宝されそうだ。

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