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【経済インサイド】「指数連動」投資に人気 運用益や手数料に魅力

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 日経平均株価などの指数に連動させる「パッシブ運用」に人気が集まっている。低廉なコストや相対的に高い運用成績が魅力だ。新型コロナウイルスの感染拡大で不透明感の強い現在の局面においては、リスクの下限を市場平均程度に抑えたこの手法にはなおのこと注目が集まる。ただ、パッシブ運用への偏重は市場をゆがませ、価格調整機能を阻害する恐れがある。

 金融庁が6月発表した「資産運用業高度化プログレスリポート2020」によると、公募型の株式投信の残高は、日銀保有分を除くパッシブ運用分で2019年時点で約27兆円と11年(6兆円)の4倍以上に増加した。一方、指標以上のリターンを狙うアクティブ運用分も19年には約50兆円とし、11年(40兆円)時点から増加はしているが伸び率の鈍さは明らかだ。

 パッシブ運用の最大の魅力はパフォーマンスの高さだ。リポートによると、国内で組成された公募投信の昨年末時点からの過去5年平均の累積リターンは、パッシブ型の投信が22.6%だったのに対してアクティブ型は9.7%に過ぎない。先進国株、新興国株など全分野の株式投信でパッシブ運用に軍配が上がる。

 銘柄選定が必要なアクティブ運用と比べてコストが安く、購入・保有にかかる手数料も手ごろな点も理由の一つだ。値動きもシンプルで、少額投資非課税制度(NISA)などを利用した気軽な投資先としても選ばれやすい。日本銀行のETF(上場投資信託)の大量購入の恩恵を余すことなく享受できるのも、パッシブ運用の有利な点だ。

 リポートではアクティブ投信について、同一金融グループ内での専売商品が多いことや、手数料目当ての新規組成への傾倒がみられるとし、結果として運用効率の悪い小型投信が乱立したと指摘。「平均的なパフォーマンスをみると、コストに見合うだけの水準を確保できていないと考えられ、顧客支持が十分に得られていない」とした。

 もちろんアクティブ型の中には、パッシブ型より高い利益を叩き出すものも少なくない。ただ、ファンドマネージャーらの人件費や銘柄の入れ替えといったコストを差し引いた上でなお市場平均を超えるリターンを継続的に確保し続けることは難しい。

 だが、パッシブ運用への偏重には市場をゆがめるリスクもある。パッシブ運用は指標組み入れ銘柄を無批判で購入するため、組み込まれているがために不必要に株価が維持される“ゾンビ銘柄”も出てくる。ガバナンスに問題がある企業でも、パッシブ運用の場合はその銘柄だけを売却することはできない。

 逆に、指標に組み込まれていない成長余地の大きい銘柄には資金が行き渡らなくなる恐れもある。大げさに言えば「市場が本来持っている価格発見機能、すなわち“神の見えざる手”を阻害しかねない」(大手生保運用担当者)のだ。

 とはいえ、過去のパフォーマンスを踏まえると、パッシブ運用に資金が集まることは必然とも思える。今後もその優位は揺るがないのだろうか。大和総研政策調査部の鈴木裕(ゆたか)主任研究員は必ずしもそうではないとする。

 パッシブ運用では、どうしても指標から漏れた小型優良株に目が行きにくくなる。アクティブ運用がその間隙を縫うことができれば大きなリターンを得られる。「パッシブ運用に資金が集中すれば、それだけチャンスも増える」(鈴木氏)という。

 鈴木氏によると、今後もパッシブ運用にお金が集まる傾向は続く可能性が高い。新型コロナの感染拡大で不透明な相場環境ではなおのことだ。「安く買って高く売る」のが投資の基本だが、パッシブ運用が隆盛な今こそ、アクティブ運用の絶好機かもしれない。(経済本部 林修太郎)

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