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日本企業、ロシア産飼料の輸入を本格化 温暖化と米中貿易摩擦で調達可能に

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 ロシアが極東地域で飼料用トウモロコシの生産を拡大している。従来は農地に適さなかったが、地球温暖化で耕作可能地が拡大。原油価格下落や経済制裁に悩むプーチン政権は、穀物生産を新たな産業の柱にしようと注力中だ。そこに、貿易摩擦で米国からの飼料輸入依存度を減らしたい中国から投資が入り、港湾整備など輸出環境が改善された。調達先の多様化と輸送コストを削減したい日本企業も輸入を本格化させており、食糧安全保障をめぐる地政学的変化が起きている。(上原すみ子)

 「穀物輸入は物流コストがカギだけに、近場の極東ロシアから運ばない手はない」。養鶏大手、アキタフーズ(広島県福山市)の岡田大介会長は、ロシア産飼料用トウモロコシを1万トン以上買い付けた意義をこう語る。

 アキタはブランドたまご「きよらグルメ仕立て」などを展開し、飼料も自社調達する。昨年10月、丸紅の元代表取締役常務だった岡田氏を会長に迎え入れ、ロシア産穀物の独自輸入に乗り出した。

 養鶏などに必要な飼料用トウモロコシの日本の輸入実績は昨年、約1150万トン。うち7割弱が最短でも15日かかる西海岸積みを含めた米国産で、約40日かかるブラジル産を加えると、約96%を北・南米に依存している。2017年の米国大寒波で米西海岸の穀物輸出機能がまひした際は、日本の商社は高値で中国からの緊急輸入に追われた苦い経緯がある。

 一方、ロシアのプーチン政権は穀物生産を育成する方針で、輸出額を18年の260億ドル(うち飼料用穀物100億ドル)から24年までに450億ドルへ拡大する目標を掲げる。極東での耕作面積増大などでロシアの19年の穀物生産はトウモロコシ、小麦など1億5千万トンと過去最高を更新し、今後も増産が期待される。

 極東からの穀物輸出は、輸送インフラの未整備がネックだった。そこに、米中貿易摩擦で米国産穀物に対抗関税をかけた中国の目が向き、国営の中糧集団(コフコ)などが極東の港湾整備や内陸集荷網に積極投資し始めた。中国は、東北部から生産ノウハウを持つ農民をも送り込み、生産効率化にも一役買っている。

 アキタが購入契約を結んだロシアのレジェンドアグロは、中国電機メーカー最大手レノボグループが大株主で、黒竜江省の最大農牧企業の北大荒集団も資本参加する、中国資本の農業新興企業だ。ロシア極東の耕作面積を広げ、急成長している。従来の穀物積み出し港ウラジオストクの100キロ南の不凍港ザルビノ港で穀物の独占輸出権を持つのが強みで港の混雑もない。 三井物産もロシア穀物大手のロスアグロと提携し、飼料用トウモロコシの輸入実績がある。米穀物メジャーのカーギルや、シンガポールの農産物大手、ウィルマー・インターナショナルなどもロシア極東への投資を模索中と伝えられる中、穀物争奪戦に日本企業がどう楔(くさび)を打ち込めるか、注目される。

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